4

 ュースをすすり、シュークリーム(っぽい見た目と味の何か)を、大口で頬張っている。


「まったく、俺の分まで食べやがって……口のまわりクリームだらけじゃねえか」


「ふーんだ」


 俺はナプキンで魔王の口まわりを拭く。

 魔王は俺のベッドの上に居座って体育座りの体勢をして膝に顔を埋めている。完全に拗ねてしまった。こうなるとしばらく機嫌が治らない。

 俺は魔王をほっといてルーレットを回す。


「6が出たな……お、結婚マスだ。おーい魔王、俺結婚したぞー!」


 魔王の方を見る。顔を伏せたまま、ぴくりと体が動いた。


「……結婚」


 魔王が少しだけ顔を上げてこちらを見た。心なしか目が潤んでいる気がする。


「……なあケータ」


「な、なんだよ」


「ケータはいつかに帰ってしまうのか?」


「……多分な」


 沈黙が訪れる。気まずい。嘘でも「ずっとここにいるよ」とでも言うべきだったか。

 魔王はまた顔を伏せてしまった。かすかに、体が震えている。


「……嫌じゃ」


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