第3話 夜明けの決断

夜明けの最初の光がソーンウッド城の高い城壁を優しくなで、冷たい石を暖かな色合いで染め上げると、王室は剣ではなく意志の対決の証人となった。エリクはロデリック王の前に立ちはだかり、その決意は重苦しい不安の空気とは対照的だった。二人の間には 「茨の王冠の年代記」が置かれ、その古代のページには長い間埋もれていた秘密が囁かれていた。


「父上、恐怖に縛られてはなりません。白き魔女が唯一の希望かもしれません 」とエリクは断言し、その声には敬意と決意が混じっていた。


ロデリック王は、その存在そのものが部屋を支配していたが、沈黙を守った。いつもは決意の要塞のような彼の目は、思考の乱れを裏切っていた。数え切れないほどの嵐を乗り越えてきた男であり、その肌には治世の歴史が刻まれていた。しかし今、彼の遺産の根幹を脅かす大嵐に直面している。


「エリク、お前は希望を口にするが、その代償は何なのか?」王はようやく、遠雷のような低い声で語った。「お前が受け継ぐことになる王冠は、ただの金塊ではない。お前の義務、存在そのものが、この王国に縛られているのだ」


エリクは父の視線を受け止め、そのストイックな瞳の奥に激しい葛藤を見た。ロデリック王は確かに要塞だったが、要塞にも亀裂があり、疑念と恐怖の隠し部屋がある。


「父上、王位の重さは理解しています。しかし、私たちの王国が生き残り、繁栄するためには、この呪いに立ち向かわなければなりません。」


ロデリック王の視線は和らぎ、内なる父と外なる王との戦いが始まった。「エリク、その勇気はお前の母を思い出させる。彼女もまた、最も暗い影でさえ消し去ることのできない炎を持っていた」


重く深い沈黙が訪れ、王の心に長い間閉じこめられていた思い出が、炎に吸い寄せられる蛾のように羽ばたいた。そして、王冠の重みを背負ったようなため息とともに、ロデリック王は絹と鋼のささやくような声で語った。


「我が息子よ、これがお前の選んだ道ならば、そうするがよい。だが、これだけは知っておけ」王は玉座から立ち上がり、その影がエリクを包んだ。「お前が追いかけようとする影は、我が家系の根を蝕む同じ闇から生まれたものだ。光に向かう一歩一歩が、奈落の底への一歩になりかねないのだ」


夜明けの最初の光が部屋の影を来るべき日の亡霊に変えたその瞬間、エリクはただの王ではなく父親を見た。王位への義務と息子への愛との間で引き裂かれた父親、運命の岐路に立っていた男、王子の意志ではなく、最も暗い呪いさえも消し去ることのできない希望の揺るぎない精神に譲歩した男。


王の不本意な祝福を胸に、エリクは王室を後にした。城が新たな日を迎え、王子の決意が波紋を広げ、その波が王国の影を一掃するか、より深い闇に飲み込まれるかのどちらかだった。

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