第15話:灯されていた火

火がついていたキャンドルに指輪を入れて消すと、

表面は蝋が蓋の役割をして、指輪をいれても表面からはわからない。


私は急いで優樹菜ちゃんの部屋に向かった。

部屋を開けると、礼央君がつけていた香水と同じ香りがした。

冷蔵庫の上の机を見るとキャンドルが二つ置いてあった。


その中の一つを手に取る。つけていた火をさっき消したばかりなのだろう。

香りを放ち、表面の蝋がまだ完全に固まっておらず、つやつやとしている。


もう一個のキャンドルの香りを嗅ぐと、礼央君が言っていた、甘い香りのキャンドルだった。


優樹菜ちゃんの姿が見当たらない。どこに行ったの?

沙耶香達がいるフリースペースの部屋に戻る。

真衣ちゃんも来たようだ。

「優樹菜ちゃん知らない?」

「そういえば優樹菜ちゃん、出発前に用事があるって、さっきでていっよた。コンビニでもいったんじゃない」

沙耶香が言った。

私は外に出て走り出した。


間に合うか?


全速力で走ったので、息が上がる。

ようやく優樹菜ちゃんの姿が見えた。

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