第31話リーシェ、代々木公園を救う

“¥100000000-《幕僚長六月一日響子》リーシェちゃん助けて“


“ふぁッ?“


“(つд⊂)ゴシゴシ“


“¥100000000-《幕僚長六月一日響子》代々木公園が大変なの!“




「あわわわっ! とんでもない金額の投げ銭が!」


「アリス? そんな大金ですの?」


「リーシェ様が一生風俗で働いても無理な金額です」


「アリス・・・死にたいのですの?」




“まじでヤバいぞ!“


“テレビで代々木公園にAクラス以上の魔物が!“


“Aクラス?“


“ガチでヤバい!“




“¥100000000-《幕僚長六月一日響子》リーシェちゃんに頼るしかないの“


“まじで幕僚長?“


“自衛隊?“


“それよかまだ投げ続けるとかw“




どうやら、地上で大変な事態が起こっているようですわ。




“¥100000000-《幕僚長六月一日響子》リーシェちゃん、すでに召喚勇者が対応してる。一人では危険なのはわかるわよね?“


“いいけど前回のエッグサイトの事件報道せんかったくせに“


“そうだよ都合がいい“


“ほとんどリーシェちゃんの活躍なのに、自衛隊の手柄とか酷い“




「そんなことは気にしてませんの」


「そうです。リーシェ様はお金にしか、痛っ!」




アリスは私に何か恨みありますの?




「リーシェ様、酷いです。いきなり殴るなんて」


「私はお金ではなく、ただ勇者を助けたいだけですわ」




“色ボケの方やったw“


“正義のためじゃないのがおもろいw“


”¥100000000-《幕僚長六月一日響子》それとアキラさん、エリカさん、あなた達も協力してください“




「は? 俺達地上じゃ力ないぞ?」


「いえ、アキラさん。もしかしたら私達も地上で能力使えるかもしれません・・・多分、リーシェちゃんのせいで」




“リーシェちゃんのせい“


“責任転嫁?“


“何でエリカちゃんが地上で力使えるの?“


“¥100000000-《幕僚長六月一日響子》リーシェちゃんが能力を地上で使えるのは心臓が魔晶石になっているから。そしてリーシェちゃんの近くにいる人は皆影響を受ける“




「確かに私はこの間、地上でも能力が使えることを知りました」


「マジか?」




“《陸将五十嵐誠也》その通りだ。エリカさんもアキラさんも地上で能力が使えることは確認済“


“いいけどお前ら本名晒すなよw”


“《幕僚長六月一日響子》普通、釣りだと思うでしょ?“


“普通ならねw“


“《幕僚長六月一日響子》あと、陸将・・・本名晒したことは職務規定違反になるので“


“え? 何で? 幕僚長だって?“


“私は総理に許可を得ています“


“《陸将五十嵐誠也》((( ; ´•ω•` ; )))“


“結構な熟練者と見たw“


“陸将の趣味バレるw“




☆☆☆




六月一日響子視点


アリスのマンションの隣の部屋。陸上自衛隊総隊司令部別班。


空将から声が上がる。




「百里より支援戦闘機、スクランブル発進しました!」




更に海将。




「厚木より情報収集用のP1発進しました!」




そして陸将五十嵐誠也。




「中央即応集団、現地に到着しました!」


「よくこの短時間でやってくれたわ。素晴らしいわ!」




支援戦闘が魔物に爆撃せんと迫るが。




「ああ! まさか空を飛ぶ魔物がいるのか?」


「ダンジョンの中にいるのだから当然」


「ですが、我が軍にもF15の制空隊もおります!」




しかし、次々と墜落していく戦闘機達。




「支援戦闘機は撤退! 魔物に現用兵器は通じないわ!」


「しょ、承知しました」


「陸将。パイロットの救出急いで!」


「もちろん!」




既に国家存亡の危機、前回のエッグサイトの際には情報操作が行われたが、今回はその気はない。




「空将、海将! 注意深く、空から魔物とリーシェちゃん達の戦いを記録するのよ!」


「もちろん!」


「最新のドローンをありったけ投入しました」


「よくやったわ!」




そして、代々木公園にリーシェ達が降り立った。



「さぁて・・・ここからは、私達人間側の時間よ」



幕僚長は不敵な笑みを浮かべていた。



「それにしても幕僚長・・・キリカさんに頼めば良かっただけではないですか?」


「え? いや、だってあんなに焦ってたんだもん!」


「ば、幕僚長・・・」




そこには沈着冷静な幕僚長ではなく、女子高生みたいな感じに退行してしまった六月一日響子がいた。




『幕僚長・・・可愛い』




優秀だが独身の陸将五十嵐誠也・・・初めて恋に落ちた・・・どうでもいい話だが。




「幕僚長、しかし、あの魔物はどうしてこっちの世界に来るのでしょうか?」


「そうね。それはこの機会に話しておくわ。先程総理から自衛省トップへの情報公開がなされたの」


「国家機密ですな」




うんと頷いた響子は話を続けた。




「米軍経由の話だと、異世界の魔族にも親人族派と反人族派がいるの。もちろん人族側にもね」


「魔族に親人間派がいるのですか? 私のイメージでは人を喰らったり、悪の象徴としか思えないのですが・・・」


「それが、魔族とは魔物が進化した知的生命体で、話し合いが可能なのよ。これまで和解が出来なかったのは、彼らの王たる魔王の特性が原因なの」


「魔王の特性?」


「魔王になった物はあちらの世界の土地に害を与える存在。そして魔物を活性化させてしまうの」




それを聞いて各将達は納得いったようだ。しかし、そこで皆、同じことに気がつく。




「あの、幕僚長? 現在の魔王ってリーシェ嬢ではないのですか? 一体魔族は何を考えて?」


「これは異世界の親人族派から得た情報です。実はリーシェちゃんは真の魔王ではないそうです。別に本当の魔王がいて、反人族派は異世界だけでなく、こちらの世界も侵略・・・いえ、滅亡させる気です。リーシェちゃんは何も関与してないのです」


「な、何故こちらの世界まで? 二正面作戦など愚の骨頂ではないですか?」


「それはこちらの世界のダンジョンに鍵があるの。こちらのダンジョンの方が異世界より魔素の濃度が高いの。つまりこちらの世界の人間の心臓が魔晶石化した場合、彼らにとって致命的な戦力差になり得るの」




皆、静かになるが、情報管制官の一言で我に帰った。




「リーシェ嬢達が代々木公園に降り立ちました!」




戦いの火蓋は切って落とされた。

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