第7話 班決め
入学式が終わった後、新入生はそのまま残されてクラス発表になった。
クラスは1クラス30人でAからDまでの計4クラス
ボクのクラスはAクラス。
「アリアは何だった?」
「私もA でした!いっしょですね」
発表が終わると、新入生はそれぞれの教室へと移動になった。
教室に入って割り当てられた席に座っていると、勢いよくドアが開いた。
「ここがわたくしのクラスですわね!ごきげんよう!皆さん!」
まさかのアマデルさんも同じクラスだった。
彼女はアリアの姿を見ると一瞬おどろき、そばに寄ってきた。
「あなたは確か試験でわたくしと戦った人よね」
「え?は、はい。そうですけど。何か用ですか?」
突然のことにアリアは驚いていが、アマデルさんはそのまま話を続ける。
「あの時は引き分けになってしまいましたが、次こそは必ずあなたをコテンパンにしてあげますからね!」
「なるほど。はい、こっちこそ負けません!アマデルさん!」
「あなたにはわたくしのことをアマデルと呼ぶことを許します。その代わりにわたくしもあなたのことをアリアと呼ばせていただきます。わたくしを呼び捨てすることができる人なんてめったにいないのですから光栄に思いなさい」
何はともあれ二人の話は落ち着いたようだ。
そこに男の先生がやってきて、みんなに座るよう指示した。
みんなが座ったのを確認すると、前で話し始めた。
「初めまして、このクラスの担任になりましたルーベンです。さて、早速ですが皆さんには自己紹介をしてもらったのち、各自3人の班を組んでもらいます。この班で明日から主に活動してもらいます」
そういうわけでボクたちはそれぞれ自己紹介した。アマデルさんがまた強気な自己紹介をしたことは言うまでもないと思う。
次は班決め。
「アリア、わたくしと同じ班になりませんか?」
アリアがアマデルさんに誘われている。
さて僕は誰と組もうかな。
「そこのあなたもどうですか?」
え?アマアデルさんがボクにも声をかけてきた。
「ボクでいいの?ほかにも人はいるけど」
「かまいません。あなたも試験の時活躍されていましたから、わたくしの班になるだけの実力はありますので」
まぁボクも誰と組もうか決まっていたわけじゃないし、それにアリアもいるから気が楽そうだしいっか。
「じゃあよろしくね、アマデルさん」
「同じ班になるんですし、あなたも私のことをアマデルと呼んでかまいませんわよ!」
「わかった。よろしくね、アマデル。それからアリアも」
「はい、よろしく、カナデ」
「あら?カナデはアリアと知り合いなんですか?」
知り合いというかなんというか。
「ボクたちは同じ師匠の下で教わっていたんだ」
するとアマデルは何かを察したような顔をした。
「もしかしてその師匠とはヨハン様のことですか?」
「知っているんですか?」
「お父様が今年はヨハン様の弟子が入学するっておっしゃてましたもの」
この間言っていた王様に呼ばれたときに言ったのかな
「王女様であるアリアも師匠のことを様付けで呼ぶなんて私たちの師匠ってほんとにすごい人なんですね」
アリアの言葉にアマデルは鼻息荒く語りだした。
「すごいなんて言葉では言い表すことはできませんわ!ヨハン様はお父様がまだ皇太子であったときに起きた大量の魔物の襲撃の際、壊滅寸前の国を一人で救った英雄ですわよ!わたくしのお父様もお母様、そして娘の私もヨハン様の大ファンですの!家にはヨハン様専用の部屋がありますわ!」
アマデルの家ってことはあのおっきな城ってことだよね。そこに師匠専用の部屋があるってどういうことなんだ。
ボクとアリアはそろって面を食らってしまった。
「まさかヨハン様の弟子と同じ班になれるなんて夢のようですわ!今度ヨハン様にも合わせてください!」
うーん、師匠はそんなに目立つことがすきそうじゃないからどうだろう。
「機会があったらね」
「はい!ぜひお願いしますわ!」
まぁダメもとで聞いてみるか。
しばらくしたらほかの人たちも班が決まったようだ。
「皆さん班が決まったようなので、本日はこれで終了です。明日からはその班で活動することが増えてくるので同じ班の人とは親交を深めるなりしておきましょう。以上です」
さて、これからどうしよう。
親睦を深めるといっても何をすればいいんだろう。
「よかったら一緒に帰りませんか?」
アリアの提案にアマデルさんは「よろこんで」と言った。
ボクも賛成だ。というかボクとアリアは帰り道が一緒なんだけど。
「カナデとアリアは得意な魔法とかはあるんですの?」
得意な魔法?
「私は風を起こすのが得意だな~」
「なるほど、わたくしと同じですわね。カナデはどうですの?」
「うーん、この魔法が得意っていうのはないかな~。でも苦手な魔法とかもないかな」
「なるほど、確かに試験でも二つの効果を起こしてましたものね」
そんなことを話しながら歩いていると校門が見えてきた。
「おーい」
そこにはボクたちを呼ぶおじいさんの姿があった。
ん?あのおじいさんって確か・・・
「師匠!」
アリアが大きな声でそう言った。
そうだ、変装している師匠だ。
でも今呼んだらたぶん・・・
「え!あの方が!?」
案の定アマデルも大きな反応を示した。
「よ!初日お疲れさん!そっちの子は?」
「紹介します、こちらはアマデル・エネルジコ、私たちと同じ班になった人です」
アリアの紹介にアマデルは慌てて反応した。
「は、初めまして!ア、アマデル・エネルジコです!アリアとカナデと同じ班になりました。よろしくお願いします!」
「アマデル・エネルジコ、ああ!王女さんか!城では会うことがないから気付かなかった。そうか、二人と同じ班になったのか。よろしくな!二人のことを頼むぜ!」
「はい!」
アマデルさんは少し上ずった声で答えた。
にしても思ったより師匠が嫌がらなくてよかった。
そこからは師匠を含めた三人で帰路についた。終始アマデルはたじたじだったけど。
とはいえさすがは王女というべきか、途中でお迎えの人が来ていて、アマデルとは途中で別れることになった。
「あのアマデルって子、だいぶ面白い子だったな」
「ボクはてっきり師匠はああいった反応は嫌いだと思ってたんですけどそんなことなかったですね」
「まぁたしかに目立つのはそんなに好きじゃないな。だが2人の仲間みたいだし、人がたくさんいるわけじゃないしな」
なるほど気を使ってくれたみたい。
「あ!そうそう、これから2人が住む拠点を買っておいたから明日からはそこから登校するといい」
そういえば確かにまだ宿住まいだ。さすがにそこから毎日通うのはないよね。
「どこなんですか?そこは」
アリアの質問に師匠は含みのある笑いをした。
「それはな~」
そこで師匠が足を止めた。
「ここだ!」
師匠が示したのはちょっとした豪邸だった。
学校まで徒歩五分くらいだろうか。
町の中心部にも近いからこの辺りは高そうだけどそんなお金があったのかな。
「どこにこんな家が買えるお金があったんですか?」
「俺は払ってない」
え?どういうこと?
「弟子が入学するって言ったら王様がくれたんだよ。断る理由もないしありがたくもらうことにした」
なるほど、今度アマデルに会ったら感謝しておこう。
こうしてボクとアリアの入学初日は終わった。
明日からの学校生活も頑張ろう。
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