Choice

涼波

Introduction

 ......なあ、知ってるか? あの古びたの話。


 死の洋館? ......何それ。


 いやさ、俺の兄が言ってた話なんだけど、なんでもその洋館に一度入ったら二度と出て来れなくなるらしいぜ?


 いきなりすぎて内容が入ってこないんだけど......。


 まあ話は最後まで聞けって。その洋館ってのが、この村で一際目立ってる洋館なんだとよ。ほら、確か二年くらい前にあった誘拐事件の犯人が籠城してた、あの館。


 んー、そんなのあったけ?


 バーカ、ニュースくらいちゃんと見とけっての。......昔からこの辺に滞在してたどっかの貴族の娘が、身代金目当ての誘拐にあったんだよ。それで、その誘拐犯が籠城してたのが、その館だったってワケ。


 なんか怖いね......。


 まあ普通に大事件だったしな。てか、本当に知らなかったのかよ......。


 それで、その死の洋館っていうのが、この村にあるの?


 らしいぜ。面白そーだよな。


 相変わらず馬鹿な発想してるよね......。


 ......お前には一番言われたくないが。———で、身代金目当てで誘拐された女の子な、その事件で死んじゃったんだけど、生き霊になって館を彷徨い歩いてるんだとよ。


 その話、本当なの?


 さあな。単なる噂話で、百パーフェイクって説が有効らしいが。


 じゃあ嘘じゃん。やーい、嘘つきー。


 嘘かどうかはわからねーだろ? それにな、この前も目撃情報があったんだ。蒼白い素肌が特徴的なの女が館の中に入ってった、ってな。


 うわ、裸とか......アンタ、そんなこと考えてんの? キモ......。


 お前、人の話聞いてんのか? ———まあ良いや。そんな館があるってだけの話。


 興味湧かないなあ。


 実のところ、俺もそんなになんだよな。面白そうではあるが、何より呪われたりしたらたまったもんじゃないからな。






 ———あーあ、誰か物好きが見て来てくんねーかなあ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る