10.先輩はお薬屋さん

 低気圧に苛まれる日。

 先輩が「頭が痛い」と小さく言った。雨が降り出しそうで、明日から連日天予報は雨マークが示されていた。そんなときに引き出しの中からいくつかの薬が出てきた。全て痛み止めの薬。

 ほんの少しだけ元カレを思い出した。元カレも言わずともしれた低気圧で頭痛を引き起こす人だった。

 むやみやたらに重ねるのは愚かかもしれない。

「もし何かで痛み止めが必要なら言ってくれたらあげるで」

 先輩が薬を頬張り、笑みを含ませる。

 ずるい。私が生理のときとかしんどそうなのを知っていて言ってる。

「そのときはよろしくお願いします」

 今日も先輩の薬屋が開かれる。

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