(二)-13

 警備員は大声を上げて近づいてきた。

「知らねえよ」

 悦子が短く嘘と悪態を同時につくことで応えると、警備員は手にしていた小銃の銃床で悦子の腹を殴りつけた。

 悦子は腹を押さえて膝から倒れた。

 芙美恵が「姐さん!」といって悲鳴に近い声を上げた。

 それを聞いた別の警備員が、芙美恵のことも銃床で背中から殴りつけた。

「ざまあねえな」

 そう言いながら立ち上がる北俣と椎田だったが、この二人も民警の銃床で殴られて再び地面との接吻(せっぷん)を余儀なくされていた。


(続く)

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