第15話

「お、おじゃまします…」


「風呂沸かすからその間、テキトーにわたしの部屋でくつろいでいて」


 言われた通りに部屋へと向かう。


 前きたときは部屋を見渡す余裕がなかったけど、意外と女の子らしい部屋してるんだなぁ。意外って失礼か…


 小春さんの部屋は広くて、綺麗に整頓せいとんされていた。本棚にはたくさんの本や雑誌がきちんと並んでいる。


 ベッドの上には可愛いクッションが並び、服が乱雑置かれていた。


 ぼんやりと部屋を見渡しながら、ベッドに腰を下ろす。部屋の中は静かで、逆に心が落ち着かなかった。


「こんなところに服を置きっぱなしは、シワになりますよ」


 独り言をボソッと呟き、服を手に取る。


 わたし以外に、誰も部屋にいないと分かっているが、一応周りを確認するように見渡す。


 服をそっと鼻に近づける。


「いい匂い…優しいがする…」


 1人で匂いを堪能していると…


「お前何してんだ?」


 いつのまにか小春さんが部屋に入ってきていた。


 匂いを嗅ぐのに夢中で、音に気がつかなかった。


「いや、これは服がシワにならないように、畳もうとしていただけで」


「ふーん」と若干の疑問の目線を向けられたが


「風呂沸いたから入るぞ」


 セーフ!バレなかった。人の服の匂いを嗅いでたとか、バレたら変態扱いされちゃうよ。


 そのままわたしたちは、服を脱ぎ浴室に入った。


「あの、あまりにも流れが自然すぎてツッコミなかったのですが、なんで一緒に入っているんですか?節約ですか?」


「いや今回は一緒に入りたかったから。まぁ今さら恥ずかしがることないって」


 それもそうかと納得してしまう。


 体の汚れを落とし、2人で湯に浸かる。


 前は鏡越しだったからよかったけど、今は対面で向き合っているから、全部丸見えで目のやり場に困る。


 それにしてもスタイルよすぎでしょ。わたしが男だったら、耐えきれなかったと思う。


「なにさっきから見てんだよ。そんなに気になるか?わたしの胸触ってみるか?」


 チラチラ見ているのがバレてしまった…触れるなら触ってみたい。欲望がふつふつと沸き上がる。


「では、遠慮なしに触らせて頂きます」


 そう言って、下から支えるかのように触る。


 服で隠されていた、小春さんの胸の重量をしっかりと手に感じる。


「おぉ!!凄いですね」


 語彙力すら失う凄さ。この胸を堪能していると、わたしのなかの悪魔が現れ、わたしの心に問いかけてきた。


(ただ手を添えるだけでいいのか?思いきって揉んじゃえよ!!1揉みくらい許されるって)


 一回こういうことを考えると、それしか頭に残らなくなる。そして揉んでみたい欲が頭を支配する。


「もういいだろ?そろそろ手を…あっ、……」


 小春さんが喋っている途中に思わず揉んでしまった。


 しばらく沈黙が流れる。


「な、なんですか今のイヤらしい声は?」


「お前が急に揉んだから、ビックリして声が漏れたんだ!!」


 小春さんからあんな声が…なにかクるものがあった。


「小春ちゃんも可愛いところあるじゃないですか~」


 とニヤニヤしながらうざったらしく言う。


「あーこいつにはお仕置きが必要だな」


 怒りの籠った声で、わたしを無理やり引っ張りだし、裸のまま部屋に連れ込まれる。


 そのままわたしを乱暴にベッドへ突き飛ばし、部屋の鍵を閉めた。


 一気に恐怖が体を周り、瞳が徐々に潤ってくる。


 どうしよう!どうしよう!!完全に終わった…

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