第15話 思い出の記憶
避難艇の上部に映し出された映像は、
しかし、この人物が本当に転生前の自分なのか確かめたい反面、真実を知ることが怖いという葛藤。このような心情に悩まされながらも、意を決した様子で口を開く……。
「これが……転生前の僕?」
「そうです、これで理解していただけましたか」
信じられないといった表情を浮かべている
そんな中――、またしても避難艇から聞こえてきた
《登録者情報より、個体名:リン シロツメ・リン クロバ、双方の個体一致率 99.9%。同一人物と判定いたしました》
「まあ、何となくだけど、状況は理解したよ」
「本当ですか? 分かって頂けて嬉しいです」
「ところで、
「着るもの?」
「いや、だから……そんな露出の多い服装だと目立つでしょ」
「露出とは、どういう意味でしょうか? 因みにこれは、私の戦闘スタイルでして、とても動きやすく丈夫なんですよ」
服装に問題があると指摘されるも、
街ではあまり見かけることがなく、目のやり場に困るようなデザインである。こうした発言に、流石の
「あのね、
「いやらしい目? それは、
「違うよ! 僕は、おんな。――じゃなくて、街の男って言ったよね。ちゃんと、人の話を聞いてるの?」
「はい、聞いています。私はてっきり
何かを言いかけた
「おかしい?」
「ええ。先ほど
「なっ、何かの聞き間違いじゃないの」
「そうですか……? 確かに、女と聞こえたはずなんですけど。でも、そう考えたら不思議ですよね」
「なっ、なにが不思議なの」
「だって、私と旅をしていた時は女性だったんですよ。それが今は、男性として生まれ変わっている。とても不思議なことじゃありませんか?」
どうやら
「とっ、とにかくね、そんな格好じゃ目立つから、他に何かないの?」
「そう言われましても……私が持っているのは、これ一着」
動揺した顔つきの
「だったら、ここで少し待っててくれる」
「――嫌です! 転生前の凛さまも、そう仰いました。けど……二度と私の元には戻って来なかった」
「嫌って言われても……
「といいながら、置き去りにするつもりじゃないですか」
「そんな事なんてしないよ。安心して、ね」
「本当……ですか?」
今までずっと避難艇の中で孤独な時間を過ごしてきたのだろう。
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