時わすれの景色

しくしくと降り続いた雨が

止んだ


白練しろねり色の雲が

大きな龍に従うように

山腹を横切った


山間やまあいの家々が

霧の向こうに

閉じ込められた


雲が山を覆い隠すと

灰白はいじろの空に

逢魔国おうまがくにに属する

見知らぬ景色が現れる


ここではない

どこか

紗の国の色合い


それは

夜が訪れる前の

薄墨色の空に

やがて

溶け失せてゆく

時わすれの景色


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093074369573155

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る