ジン

@pirikalua

第1話 思い出

大学の講義は一講目と三講目。

帰るのは面倒なので、カフェで過ごすことが多い。

聡と一緒にコーヒーを飲むのが恒例だ。

「なんかさー面白いことないかなあ」

聡がぼんやりと空中を見ながら、ぼやいている。

「面白いことねえ…で、どんな感じの」

「知らない世界のさあ。なんか面白そー

みたいなやつ」

「うーん。そういえば、面白いかどうかはわかんないけど、子供のころ不思議なことがあったよ。今でも鮮明に覚えてる」

「えっなになに!」

聡が身を乗り出した。

「5,6歳の時かな。小学校に入ってからだから、6歳の時だな。俺、小学校の時、朝礼で倒れたことあってさ、意識とんでて、なかなか目覚めなかったらしい。

打ち所が悪かった可能性もあるので、検査する予定だったみたい。その時見た夢だけは、はっきり思い出せる」

喉が渇いて水を飲んだ。

「どんな夢だよ!聞きたい!」

テーブル越しに圧をかけてくる聡に気圧されながら、隆は話し始めた。


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