【完結】カミサマ☆プレゼンテーション ~兄は異世界にギャルゲを広めてきます~

あーと【運び屋さん*】(松岡文太)

第1話 0話 本当のプロローグ&1話 名もなき英雄の死

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 ――全ては、ここから始まった。

 Solo Piglet Orchestra*


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「ちっ、これなんてクソゲー!? 企画誰だよ! 止めろよディレクター!」


 あるところに、1人の〝いい鬼〟がいました。


「コンテニュー無し、セーブ不可、即バッドエンド。ノーミスでクリアとか」


 いい鬼は、〝悪い鬼〟を倒すために『鬼の呪い』を自ら取り込みました。

 自分の体を蝕むと知っていたにもかかわらず。

 世界を救うために。


「ハードモードなんて今時流行んねぇぞ。ゲームバランス考えろよ!」


 呪いの力と〝大切な仲間たち〟と共に、鬼退治に行きました。

 自分たちの命がなくなるとわかっていたにもかかわらず。

 最愛の〝妹〟を救うために。


「あぁ~、ギャルゲマジ最高~。

 イージーモードでハッピーエンド、ご都合主義バンザイ」


 片腕を失いながら、

 仲間を失いながら、

 〝命〟を失いながら。


「せめて攻略サイトかチート寄こせっつんだ。

 こっち主人公だぞ!

 主人公補正とかデフォでシステムに組み込むだろ普通っ!」


 最愛の〝従姉/あね〟の姿をした悪い鬼を。


「『最後に殺した人の姿』……ねぇ。その顔で脅えんなよ、トキメクだろ」


 ――キンッ

 それでも残された最後の力で倒しました。


「はぁ……俺もタイムリミットかぁ」


    ◇    ◇


『う、うっ~……』

 泣きじゃくる幼い女の子。

『大丈夫、柚希は死なない。だって兄ちゃんはヒーローだから!』

『ん、もっ、なか、ない』


    ◇    ◇


『くっ……』

 自信の非力さをなげく青年。

『大丈夫、あたしは死なないわ。だってあたしだもの』

『……ほんと、主人公気質だよな、姉さんって。羨ましいよ』


    ◇    ◇


「……柚希……姉さん」


 こうして『いい鬼』も『悪い鬼』も、みーんな世界から消え去り、誰もそれを知らず世界は続くのでした。


「……大丈夫……柚希は死なない……だって、兄ちゃんは……ヒーロー、だか……ら」


 めでたし、めでたし。


「バッドエンドなんてクソ食らえ」



    ◇    ◇


『――こんな終りを、私が許すと思ってるのか?』


 英雄たちの亡骸/なきがらは、光となって消えていった。


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