第23話 密入街!え?バレちゃってる!?
あーどうしよ、これじゃあ折角獲った肉が食えないじゃあないか。
これはもう街に行くしかないかなぁ……
またあのおじさんにお願いするしかないかぁ……
はぁ……あんま気が進まないんだけどなぁ……あの街自体嫌いだし……
行くかぁ……
………
まあもちろん門から入ろうにもあの忌々しい魔力検査のせいで俺が呪いの子だという事がバレてしまう。
だが幸いにもこの街、領主が独断で火力持ちも入る事を禁じているから、そいつら専用の抜け道がある。
もちろん領主が徹底的な差別主義者だからこんな物が公認な訳が無いが、こっそり外壁に穴を開けて金か食糧を対価にそいつらを中に入れる商売をする奴がいる。
そいつがおっちゃんだ。
「おっちゃーん、いるー?」
「あぁん?おう、坊主か!」
おっちゃんはちょうどこの穴に繋がる様に家を建てて暮らしている。だから基本的に呼んだら出て来るのだ。
「通してよ、ほらこれいつもの肉」
「あぁ、その事なんだが……領主がしょっ引かれてなぁ、火力持ちでも門から中に入れる様になったんだぜ!」
「まあ、おかげさまでこっちは商売あがったりなんだが」
まずいな……これではおっちゃんの穴を利用する理由がなくなってしまう。
何処のどいつだ?
こんな余計なことをしてくれたのは?
「なんでそんな事に?聞く限りじゃあ、10年以上このままだったんでしょ?」
「あぁ、どうやらこの近くの森に長らく住んでいた
「んでその席に呪いの子が移ったみたいでな。上のお偉いさん方はどうやら呪いの子が討伐したと判断したみたいでなぁ。ここに祝福の子御一行を向かわせたんだ。で、彼らが領主の悪行を暴いたって訳だ」
「そうだ、あんたも見に行けば良い!有り難かったぞぉ、あのお方の身姿は。俺がやってた事もバレてたみたいでさ、『有難う、君のおかげで沢山の火力持ちが救われた』ってお声がけされたんだぜ!嬉しくっ―――」
アアアアアア!しまったあああ!俺じゃん、余計な事したの!なぁにが「何処のどいつだ?こんな余計なことをしてくれたのは?』だよ!
ていうかそんなのがあったなモルデンガイネンの文字盤……
迂闊だったぁ……でも予想できないじゃん!こんな街のすぐそばに世界第7位の危険生物が居るなんてさぁ。
ていうか反応的に絶対存在知ってたよね?なんで平然と住んでるの?
怖ぁ……
「だからも堂々と門から入れるんだぜ!よかったな!坊主!」
クソ、別に入らなくても木の実くって生活出来るけどさ、ていうか多分何やっても19歳までは死なないけどさ、やっぱ肉食いてぇなぁ……
どうしよっかなぁ……
「ん?どうしたんだ坊主?そんなに考え込んで?」
よし、決めた!
「おーい?d」
「
そして喰らえ!レベルアップでパワーアップした俺のパンチ!
顔面にパンチをシューーーーット!
よっし声をあげさせずに始末できたな。いやぁ、犯行がバレる前にさっさと用事を済ませて逃げないとな」
*
現世:とあるプレイヤー視点
今日とあるゲームを買った。「祝福の子」という新作高難易度RPGだ。どうやらかなり話題になっている様で、店には後1個しか残っていなかった。
このゲームを作った会社は数年前に出来た新鋭企業で、その初作品である「暁の騎士」はそのあまりにもダークな世界観と鬱要素を除けばグラフィック、ゲーム性共に素晴らしいゲームだった。
私自身もそのプレイ映像に魅了されて購入し、ストーリーでざせつした。
ビジュアルも設定も良かった分、下手に感情移入して心を折られるのだ。
閑話休題、そんな会社の「爽やかファンタジー」である。
唯一の欠点だったストーリーが良くなったとなればそれは約束された神ゲーに違いない!
今からプレイが待ちきれないぞ!
………
お、始まったな。
ナレーションが……えぇと……
「まず初めに神が世界を作り、そこに多種多様な動物を作った。しかし、この世界の進歩はそこで終わってしまった……
ここは守られた世界。神の力によって大量絶滅が起きる事はなかった。
それは確かに良い事ではあったが……厳しい環境の変化による種の進化は起こる事が無かった。
そこで、進化を促す為神が数体の動物に魔力を与えた。その魔力を使って他個体との共存による繫栄を目指した動物たちの子孫が「人類種」。
その代わりに個としての力の進化によって繫栄を目指した動物たちの子孫が代表される「魔物種」として進化を果たした」
「協調の力……それが最も強いとされる人類種始祖への先祖返り『祝福の子』よ。あなたの使命は個としての力が最も強いとされる魔物種への突然変異『呪いの子』を討伐する事です」
へー、そういう設定なのね。
じゃあその「呪いの子」っていうのが悪役なのね。
目標がしっかりと定まってるな。
キャラメイクは初期のままで……
New Game っと
お、始まったな
んで前にいるのは誰だ?
「ビルボ様、もうすぐ王都に着きますよ、起きてください!」
お、初期ネームだとちゃんと名前を呼んでくれるのか!
「誰ですかって?もう、忘れないでくださいよ!ア・イ・リ・ス、アイリスですよ」
アイリスか、見るところ……天使かな?
にしてもビジュアルいいな……
お、選択肢が……
何々……
▶︎なんでこんな危険な旅に着いてきたんだい?
「呪いの子」に何か恨みでもあるのかい?
これは多分どっちでも答えは同じだな……
にしてももう旅は始まっているのか……
まあ前者を選ぶ事にしよう。
ん?アイリスの目からハイライトが消えた……
「あぁ、そう言えば説明していませんでしたね……お教え致しましょう、私達の怨嗟を……」
あれ?ムービー始まったぞ?
ここは……洞窟?
お、天使の群れが!綺麗だなぁ……!
………
オイオイオイオイ、やりやがったぞこの会社!
なぁにが「爽やかファンタジー」だ!
鬱グロダークファンタジーじゃねぇか!
そうだよな……あの会社が本当にダークじゃないファンタジーを本当に作るのか不審がってはいたんだ……
まあ「暁の騎士」のお陰で耐性もついていたみたいだし、もう少し進めるか……
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