第19話 別視点!え?旅の動機!?


僕の名前はカラザー。獣人ビーストの軽戦士で、皆はカルって呼んでる。


「おーい、カルー?」


ほら、こんな風にね。


「どうしたんだ?ビル」


こいつはビルボ。伝説の「祝福の子」らしいがそんな風に見えない。だから皆に敬われなくて、ビルなんて愛称で呼ばれている。


「いやさ、そう言えば何で聖伐隊うちに入ったんだ?聞いてなくってさ。」


ほら、こんな風にいい加減でデリカシーがないから敬われないんだよ。


「はぁ~それ聞く?こんなとこに入るなんて余程の狂信者か、僕みたいに暗い過去を持ってるやつ位だよ?」


「え、あ……ごめん、デリカシーなかったよね。アイリスにも注意されてるのに」


「まあいいよ、僕以外にそんなことするんじゃないぞ」


こうして僕は彼に話し出した。僕の故郷が無くなった理由を。


………


「僕は3年前まで、獣人の街に住んでいたんだ。今となっては、街を名乗るのもおこがましい、すこし大きな村程度の物だったんだけどさ。そこで50人くらいの同族とマトラ……ええと、村長みたいな人に拾われてきた人間ヒュームの子で暮らしていたんだ。とても気さくで、皆彼のことが好きだったよ。もっとも、彼がいたのは半年にも満たないくらいの時間だったけどさ。」


「多分、今の暮らしの方が豪華なくらいなんだけど、それでも皆幸せに暮らしていたんだ。でもそんなある日、その生活は終わったんだ。スライムの手によってね。」


「スライムっていうと……3日前に討伐したやつかい?」


「いいや、あれは幼体さ。納屋一軒分くらいだったろう?それに人類種を喰ってなかったしさ。あのスライムはその3倍は大きかったし、60人以上喰ってた」


「彼……ええと、皆名前で呼んでなかったからな……あ、そうだ。サウロンだったな。彼を含めた街の戦える人間は皆討伐隊に入っていて、そのまま全滅した。まあ、彼は非戦闘員としてついていったから、逃がされたかもしれないんだけどね。町に残っていたのは20人余りの非戦闘員と子供だけ。当然スライムに敵うはずもなく、生き残ったのはたまたま逃げた先に騎士団がいた僕だけだ。」


「目的はそのスライムへの復讐かい?」


「いいや、魔物種とはそういうものだし、何よりあのスライムは今や災害獣ハザードになったんだ。手出しをする気はないよ。」


「それより、皆が全滅した場所には呪いの子の物とされる呪力が残っていてね。マトラさん……村長は今の君よりも強かったし、30人もの屈強で魔法も上手い戦士を連れて行ったんだ。災害獣ハザードでもないスライムに負けるはずが無い。呪いの子が、僕の家族を、故郷を奪ったんだ。」


「だから僕は、あいつを殺さなきゃならないんだ」


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