転生したのに平凡なスキルしか無いので、ポンコツ戦士と最強を目指します

ボールペン

序章 異世界生活のはじまりはじまり

転生しちゃった⭐︎

第1話 ここはどこ?

 目が覚めると、そこには見知らぬ景色が広がっていた。


「・・・え?」


 うっそうと生い茂る一面の緑。見たことがあるかもわからないような草木に、アンナは寝ぼけた頭を必死でフル回転させる。


「・・・え〜っと、ここは・・・」


 確か大学のサークルで飲み会に誘われて、面倒だから適当な理由をつけてそそくさと帰路についたところまでは覚えている。覚えているが、、、ダメだ。そのあとが一切思い出せない。


「頭痛い・・・」


 風邪の時によくある鈍痛が頭を襲う。恐る恐るさっと撫でてみたが、どうやら出血もなければ怪我もないらしい。ちょっとだけ安心した。


 しかし段々と頭が冴えてくるにつれて、不安も増してきた。ここは一体どこなのか。自分は現在どういう状況なのか。衣服の乱れもなければ怪我も無いため、暴漢に襲われたというわけでも無さそうだ。だがそれならば尚更なにがどうなって、こんな山奥のような自然の中に仰向けに倒れていたというのか。


「・・・ま、考えても仕方ないか!

 とりあえず地図でも確認すれば・・・」


 持ち前のポジティブシンキングを以て、おもむろに自身のスマホを手探りで探す。


「・・・・ん?」


 あれ? どこにしまったっけ? 尻ポケット、、、には無い。カバンの中、、、てかカバン自体が無い。


「えっ、マジ!?

 持ち物一つも無いじゃん!!」


 やられた。きっとひったくりに遭ったんだ。なにが目的でこんな山奥(仮定)に捨てられたのかわからないけれど、荷物が一つも無いってことはそうに違いない。


「う〜わ萎えるわぁ・・・。

 どうしよ、スマホも無いんじゃ所在も道もわからんなぁ・・・」


 よりによって現代っ子からスマホを取り上げるとは何事か。こちとらスマホが無ければ友達と待ち合わせすらできないんだぞ。


 しかしアンナは必死に考えを巡らせた。依存症一歩手前レベルでスマホに頼り切った生活をしていたが、腐っても大学生なのだ。見知らぬ山奥(仮定)といえど、麓に下りる方法は必ずあるし、きっと導き出せるはずだ。


「とりあえず、人の通り道に出よう。こんな獣道のど真ん中で燻ってちゃ帰れるものも帰れないし」


 思い立ったが吉日、アンナは生い茂った草木をかき分け、人の痕跡を探して歩みだした。

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