第24話「島の秘密」

眠たいので皆にもう寝るからと欠伸をしながらおやすみーと言ってテントの中に入り込んだ俺、その後にアリスも続いて入ってきた。


「あー、アリスは右側と左側どっちがいい?」

「僕はどちらでも大丈夫だよ?」

「じゃあ、俺は左側で」


持って来たバッグをタオルをしいて枕がわりにして寝転がる。

ふわりと薄手の布団が俺にかけられた


「ん、ありがとな、アリス」

「うん、おやすみなさい、真澄君」


軽く頭をなでられると眠気がピークのようだ

俺はすぐに眠りについた。


─《アリスサイド》─


「・・・もう寝ちゃった、身体強化が出来ないのに一番動いてたもんね

疲れていて当然かな?」


サバイバルしろと斎狐先生に言われて僕達は呆然としていたら真澄君が指示をしてくれて助かった。

他の皆もこう言った経験がほとんど無い者達ばかりだったからだ。


「頼もしかったなあ」


寝ている真澄君の顔を見ながら頭を撫でる

僕の大切な初めてのお友達、輪道 真澄君

他の人達は僕に対して暗い感情を向けてくる

僕の容姿はお母さん似でとてもじゃないけれど男性に見えないくらいだ。

体の線も細くて鍛えようとしても全く男性らしい体にならない。

僕は確かに男性できちんとある。

だけど、この見た目で良からぬ視線にさらされることがよくあった。

万場君はそう言った事は無かったけど

真澄君は初めて会った時は少し驚いていたけどすぐに僕の事を男性であると気が付いてくれた。

誰に会おうとも分け隔てなく受け入れて

僕達の僕達が嫌っているところを凄いって

言ってくれる。

そのままを肯定してくれて僕や他の皆も

真澄君が大好きだ。

とても優しくて温かくてお友達になれて

僕はとっても嬉しい。


「う~ん、むにゃむにゃ・・・」

「・・・ふふっ、真澄君、大好きだよ」


僕はそう言ってひとしきり頭を撫でた後に

自分も寝る為に横になった。

大好きな真澄君を見つめながら僕は眠った。

・・・もしも、その時のアリスの表情を見た者が居たとしたならばアリスの言葉の好きの意味合いをLOVE(ラブ)とLIKE(ライク)とどちらであるのかを確定するのは容易かったであると言えるであろう。

ちなみにアリスは《初恋》はしたことは無い

《今までで》だが・・・



サバイバル2日目の朝、うっすらと目が覚めだしたテント内にて俺は体が重たいと感じていた。


「うぐっ、なんだぁ?誰か乗って?」


何か柔らかな感触と体の上にのし掛かるようなこの重み、目を開けるとアリスが寄りかかっているのかと思いきや右隣ですうすうと

眠っている姿がある?

じゃあ、この重みは?

まさか?


「むにゅむにゅ、すやすや」

「・・・凛」

「寝ていますわ、すやすや」

「いや、返事してるじゃん」


一体いつからいたのだろうか?

しかも布団の内側に入り込んで来てるし

テントの入り口も閉まっている。

もしや、俺とアリスが寝入った後に侵入したのだろうか?


「・・・きちんと寝れた?」

「あ、はい、興奮ぎみでしたが真澄の体温を感じていたらいつの間にやら、はっ?!」

「怒って無いから、何かあったの?」

「う~ん?おはよぉ、ますみくぅん」

「アリス、おはよう」

「おはようございます」

「うん?生徒会長!?どうしてここにって!

な、何で真澄君の布団の中にいるんですか!」

「落ち着いてくれ、アリス、今、事情を聞いてる所だから」


まだ早い時間だかどうしてここに居るのか

どうしてここに来て、ましてや俺の布団の中に入り込んだのかを話してくれた。


「あたくしは言いました通りに斎狐先生から

一部屋奪い取ってベッドで寝ていますと

何やら耳につく機械音がしていることに

気が付きましたの、気になったあたくしは

その音が聞こえてくる方へ足を運びましたわ

そこはひっそりとした所にある扉の中からでした。

あたくしはそうっと扉を開いて中を確認すると地下への階段が姿を現しました」


少しだけ青い顔をしてさらに話しだす


「あたくしは足元に気を付けながらゆっくりと階段を降りていきました

しばらく降りていくと見えてきたのは

重厚な扉がありましたわ」


さらに顔を青くしている凛の手を握る


「あっ」

「大丈夫だ、俺もいるしアリスもいる」

「そうだよ、生徒会長だから安心して話して」

「はい、扉を前にしたあたくしはその取っ手を握りしめて開けようとしましたわ

すると少し開いた扉の隙間から叫び声が響き渡ってきました。

あたくしは扉を急いで閉めてその場を走り去りました

ベッドに潜り込んで何も見なかった聞かなかった事にして眠ろうとしましたわ。

ですが・・・」

「寝られなかったから俺達のテントへやって来たと言う事か」

「ええ、そうですわ、あたくしは小柄ですし

はじめは真澄の左側の隙間に入り込んだのですが少し肌寒かったので布団の中に潜り込んだのですわ」


あとは寝ているうちに俺の上に抱きつくようにして寝ていたらしい。


「それにしても斎狐先生の別荘の地下への扉かあ・・・それは確かに怖いな」

「ええ、あの方なら平気で人道を踏みにじった研究をしていそうですから」

「うーん、確かに僕もそんなの見つけちゃったら怖くて一人では寝たくないなあ」


俺とアリスと凛は頷きながらこれからどうするかを話し合った。

こうなったら直接本人に聞こう、と

取り敢えずテントから出て皆に相談してから

斎狐先生の元に行くことにした。








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