第22話「課外授業と言うサバイバル」

課外授業当日、学園都市内にある飛行場から

斎狐先生が所有するジェット機に乗り込んで行くのだそうだが、何だろうか?

軍用大型輸送機のような機体が出てきた。


「すっげー」

「やあ、おはよう輪道君、どうだい?

カッコいいだろう?」

「はい!でも、この機体は輸送機じゃあないんですか?」

「ああ、中は人が何人も乗り込めるように

いじっているから問題ないよ、Sクラスは

人数が少ないからね」

「斎狐先生のこの機体は学園でも能力者に

触らせて改造していますの、去年もあたくしが乗りましたし問題ないですわよ?」


当然の様に居る生徒会長である凛

課外授業でもついてくる気のようである。


「凛さん?生徒会長である凛さんがついてきて良いの?」

「もしもの時は副会長が頑張ってくれますわ」

「まだ会った事が無い副会長さん、ごめんなさい俺に凛を止められなくて」


一応生徒会長の決定権が必要な書類とかが

あるらしくその時は生徒会の庶務の女の子が息を切らしながら教室に駆け込んで来たりしていた。

副会長に決定権を一時的に譲渡してあるのに

とかぼやきながら引っ張られて行ったのは

よく見る姿だった。

ちなみに生徒会のメンバーは全員女性だとか

言っていたっけ?

生徒会の中で凛に一番振り回されているのは間違いなく副会長さんだ。

課外授業が終わったら何か差し入れでも持っていこうかな?


「さあ!乗り込みますわよ!」


ぐいぐいと腕を引っ張られて引きずられる俺

アリスと番長は先に乗り込んでいて座っていた。

クラスの全員が乗り込みが完了したので

斎狐先生が機内放送でシートベルトの装着を促すと少しして離陸するよ、とジェットが動き出す。

行き先は誰も知らないらしくクラスの全員が

首をかしげていると斎狐先生が再び機内放送をながした。


「これから行く目的地の事を説明していなかったね、これから行く所は魔の海域と呼ばれる場所にある地図には載っていない島だよ」

「魔の海域って!」

「バミューダ諸島魔の大三角へご案内さ」


はははははっ、と斎狐先生の笑い声が機内に響き渡ったのだった。



数時間後、機内放送で着陸するよー、と

斎狐先生が言うと少しの揺れと共に機内が静かになった。


「・・・こんなに早く着くものなのか?」

「この機体は学園の技術と能力の全てを使用して改造してあると斎狐先生は言っていましたわ」

「と、言うことは?」

「思い出したくもありませんが、アレが空に飛んで行ったのを覚えていますか?」

「あー、うん、うちわで飛んで行ったやつ?」

「あのうちわと同じでこの機体は能力の付与と言われる、物に何かしらの能力をつけているのですわ」

「ああー、そう言う事か!速く飛んだりとかってことだな!」


俺がそう言うと他にも色々とありますが、と

優しい顔をして何故か頭を撫でられた。

話していると機内放送で降りて来てーと

斎狐先生が言ってきたのでクラスの全員で荷物を持って降りていく。

ジェットから降りるとそこは広場の様になっていて地面がならされている。

目の前には木々が生い茂り、周りを見渡すと少し先に山があり山頂は煙が出ている。


「おおー」

「活火山かしら?山の方へはあまり行かないほうがよろしいですわね」

「さてと皆、注目!」


斎狐先生が手をパンパンッと鳴らしてジェットから降りて来た。


「これから皆にはこの島で二泊3日のサバイバルキャンプをしてもらいます」

「「「ええ~っ?!」」」


まさかのキャンプしろと指示が出た。

明らかに無人島な感じの島でしかもサバイバルとか難易度がたかくないですか?!


「ギブアップした人は課外授業が終わってから一週間、私の実験のモルモッううんっ

協力者になってもらうからね?」

(((今、モルモットって言おうとした!?)))


クラスの全員がギブアップだけはないと思った瞬間だった。


「食料や飲み水に関してだけど、ここには危険な肉食系動物の類いや水質も検査しているから問題はないよ?あとはどうやって調達してどうやって食べられるようにするかだね」

「あー、斎狐先生はどうするんですか?」

「私はほら、あそこ」


斎狐先生が指差した方へは視線をやると

明らかな人工物、つまりは屋敷があった。


「ここの島は私が買い取っていてね?

いわゆる別荘を建てているのさ、ギブアップした人は私と一緒に皆が苦労してサバイバルする様子を監視カメラにて眺めていようじゃないか」


満面の笑顔でそう言い放つ鬼畜先生にドン引きしながらクラスの全員と相談することにした。


「どうする?」

「ここは皆で協力して過ごすしかなくないか?」

「サバイバルで役に立つ能力ってあったっけ?」


それぞれがガヤガヤと話し合っていると

俺はふと、思い出した。


「動飼、食べられる動物を能力で操る事はできそうかな?」

「あっそうだね!あたしの能力ならいけるかも、だよ!」

「誰か動物さばける人っているー?」

「・・・《コクリ》」

「おおっ!静流!お前スゲーな!さばけるのか!?」


俺が聞くと親指を立てながら頷いてくれた。


「んじゃあ、お肉の確保は出来るとしてだ

お肉だけだと飽きちゃうよなあ」

「あの、女子陣で果物とか探そうか?」

「良いの?じゃあ、頼んでも良いかな?」

「ま、任せて!」

「じゃあ、男子陣はテントの組み立てとお水の確保にいこうか!」

「「「おうっ!」」」


役割を決めてワイワイやっていると番長が

ふらりとやって来た。


「どうかしたのか?番長?」

「いや、何かな・・・あの山の麓が気になるんだが、見に行ってきても良いか?」

「まあ、テントも組み立てたし水も番長が

ブルドーザーの如く丸太で近くまで引いてくれたから大丈夫そうだけど活火山みたいだから気をつけてな」

「ああ、戻らなくても心配すんな俺の能力なら力業で何とかなる」


そう言って山の方へは行こうとする番長に俺は待ったをかける


「番長!」

「ん、何だ?」

「ちょっと待ってくれ、これ!」


俺はあらかじめおやつにと思って持ってきていた栄養バーを10本ポケットから取り出して渡した。


「・・・どんだけ持ってきたんだ」

「いやあ、お腹すくかなってさ、一応だけど

持っていってくれよ」

「ああ、サンキュな、行ってくる」


そう言って番長はあっと言う間に見えなくなった。

すぐに帰ってくるだろうと思っていたけれど

番長はその日の夕方になっても帰っては来なかった。




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