第15話「学園都市でお買い物に行こう」

ボディーガードの顔合わせから二週間と数日

いつの間にやら寝ていた俺たちは

首を傾げ合いながら取り敢えずはこれで顔合わせをおわりにした。

何故か皆が少しだけ、良く分からないけど

よそよそしい感じがするのだが?

どうかしたのか?と聞いても本人達もよく分かってはいないらしく、俺を見ているとただ愕然とした何かが心の中に重たくのし掛かってくるようで、でも、それには目を背けてはいけないと感じるらしい。

なるほど?よく分からん!

俺がそう叫ぶと何故か皆が少しだけ、悲し気にしたのはどうしてだろう?

俺はその空気を解消すべく皆にある提案をした。


「良かったらさ、今度の休みの日に学園都市で買い物にいかないか?」

「はっ!?それはつまり、あたくしと真澄の初デートですわね!」

「いや、皆も居るから」


いつものメンバーと一緒にこうして買い物に

行く約束をしたのだった。


───買い物当日───

俺は私服の上に学園の制服を上着代わりにはおる。

何と学園都市で買い物する時に学園生としての身分が分かるようにしていると

学園都市のお店限定でとてもお安く物が

購入できるのだ!

俺の場合、我が最愛の妹様、

マイシスターアイドルプリンセス美波里に

お小遣いを貢いでいるため最低限しか

現金を持っていない。


「・・・・三千円とお?五百円が何枚かある?」

「おにぃ、わたしが少しだけいれといたよ~」

「おお!ありがとう!お土産買ってくるからな!美波里!」

「楽しんできてね、おにぃ」

「おう!」


我が最愛の妹様の何たる心優しき事だ!

やはり女神ではないだろうか?

いっその事、崇め奉り新しい宗教を開いた方が良いのでは無いだろうか?

美波里女神信仰、ありだな?

そんなことを考えているとお迎えが来たようだ。


「少しだけ遅れちゃった、ごめんね輪道君!」


慌てた感じでアリスが駆け寄ってくる

うん、いつものごとく可愛い。

しかも今日は私服姿だ?

うん?


「?あの、どうかしたの?」


まじまじとアリスの姿を見る

襟首のついたカッターシャツのような服に

温そうなニットの上着はブカブカで袖口で完全に手が隠れている。

ズボンは、パンツスタイルのおしゃれな感じって!これ女性用では?!

いや、可愛いけどさ、何で?


「な、なあ?アリス?その服、どうしたんだ?」

「あ、これはね、僕とお母さんでお買いにいった時にオススメって言われてコーディネートしてしてくれたの、その、友達と出掛けるなんて初めてだから何を着て行けば良いのか分からなくて、お母さんにどうしようって聞いたら何故かお相手は男の子か聞かれてね?輪道君の事を話したら見たことが無い笑顔でこれを着て行きなさいって言われて着てきたんだけど、えと、変、かなぁ?」


もじもじして上目遣いで俺の顔を見てくる

しかも無意識なのかすがるように俺の服の袖口の端をきゅっ、と摘まんできた。


「ははっ変な訳ないだろ?とっても似合ってるよ」

「本当に?エヘヘ、ありがとう!」


ぐわあぁっ!か"わ"い"い"っ!?

俺は心臓を鷲掴みされたかのようにハートがキュンとさせられながらも顔に出さないように食い縛る。

はあはあ、アリス、恐ろしい子、朝一でこれは本気で心臓に悪いわ。

物理的に心臓を止められかねない。

しかもだよ?いつもはポニーテールさんなのに、きょうは髪を降ろして首の後で髪紐で

揺ってるのさ!

さらにだ!薄くだけど俺には分かる、メイクされてるんだ。

いつもより唇がプルンとしていて桜色が濃い

分からないくらいの色合いを攻めていて

パッと見て明るい感じに仕上げられている


「あの、輪道君?」

「はっ!?いや、すまんじっと見すぎだったな」

「・・・ううん、やっぱり輪道君なら気が付いちゃった?メイクしてるの」

「あ、ああ、その、お母さんにされたのか?」

「うん、出掛けるならしなきゃっておかしいよね」

「おかしくない」


俺は素直に言ってしまった。


「アリスは、綺麗だ」

「ふえ?」


あ、やべっつい言葉に出しちまった。

しかし、そんな事を言われたのに不機嫌になる所かみるみる顔を真っ赤に染まっていく。


「ぼ、僕が、キ、綺麗なんて、は、恥ずかしいよぉ」

「あ、いや、変な事を言ってしまってごめん」

「う、ううん、そんな事、初めて言われたから、その女の子みたいとか男とか嘘だろとかならよくあるのだけど」

「それは酷いな、アリスは、アリスだろ」


性別イコールアリスと言った感じで

って、あれ?何かアリスが俺を見たまま

止まってしまったぞ?


「アリス?どうした?」

「え?あ、エヘヘ、ど、どうしたんだろ?」


アリスはふと目線を下にやりうつむいて

右手を胸にやる。


「大丈夫か?調子が良くないのか?」

「・・・ううん、大丈夫、平気だよ?」

「なら、良いんだけどさ、本当に調子が悪いのなら言ってくれよ?買い物なんか日をずらせば良いんだからさ」

「もう平気だってば、さあ、皆が待っているし行こうかな、ね?《真澄》君」

「ん?おう!アリス!」


テレポートをするために俺に手を伸ばす

アリスの細くて小さな手をにぎる。

アリスが少しビクッとしたが少しだけ固まって頬を染めて繋がれた手を見ている。

いつもの事だけど何か今回は違うような?

とても嬉しそうにぎゅっと握り返してきた。


「真澄君、今日は楽しもうね」

「おう、色々案内してくれても良いんだぜ?」

「ふふっじゃあ、僕の好きな場所にでも

案内しようかな」

「そいつは楽しみだ、よろしくな!」

「うん!」


そして、今日と言う長い1日が始まった。

俺達は、楽しい1日が送れると思ってた。

そいつが現れるまでは───

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