第5話「番長が現れた、そして···」

俺の思いがアリスに通じたのか、アリスの後ろにテレポートさせられた俺。

その後はなんとか生徒会長、凛を落ち着かせて座らせる事になったのだがずっと居る。


「あのですね、凛さん?」

「何です?真澄」

「ご自分の教室に戻らないので?」

「何を仰いますの?あたくしは真澄の婚約者兼ボディガードですのよ?離れるなどあり得ませんわ!」

「婚約者は知らないなぁ」


隣のスペースに椅子を置いて陣どる凛はまだ婚約がどうのと言い続けている。

よし、もう放っておこう、俺の精神的疲労とストレスの元になる凛の言葉はしばらく放置だ。


途中参加の授業だが可もなく不可もなくな俺の脳は内容を理解したしなかったりだ。

なぁにダイジョウブ、ダイジョウブ。

なんとか授業をこなして休み時間、職員室でガブ飲みしたお茶が今になってきいてきたようだ。


「ちょっとお手洗いに行くわ」


そういって席を立つとアリスと凛が頷き立ち上がる。


「うん?どうした?」

「僕も一緒に行くよ?」

「あたくしもボディガードですから」

「そこまでするのか、何か悪いな」


アリスも凛も気にしないでと言ってくれた

クラスメイトには童子摩先生がさらに釘を指したから大丈夫そうだが他のクラスまでは警戒しておいた方が良いと凛が説明したりしてくれた。生徒会長だけあって面倒見はかなり良いみたいだな。

ちなみに婚約すると言うのは本気らしい、なんでと聞くと凛はイケメンが嫌いで信用が出来ないとかフツメンが好きとか特に俺のように狙われていたり周りに絡まれそうなのに家族の心配を真っ先にしていたことやアリスの心配をしていたことを見て優しいのに自分は後回しとか女心をものすごくくすぐられたらしい決め手は凛の名前を呼んだ事。


「それが一番よくわからないんだけど?」

「んふふ♥」


どうやらそこに関しては教えてくれないようだ。

話している内にトイレに着いた、さてとって


「あの、凛?」

「はい?」

「アリスは男だから大丈夫なんだけどね

凛は駄目だろ!」

「そうですよ、生徒会長は入り口で待っていてください」

「伏義野きゅんだけズルイです!あたくしも真澄の真澄を見学したりいたしたいですわ!」

「アウトだっ!何言ってんの!?」

「輪道君の輪道君って・・・ッ!?」


おや、凛のお言葉にアリスが反応して顔を真っ赤にしている。はっはっはっ、なんて反応しているんだよアリス、君は男だろう?

そのようにもじもじして君にもついている物じゃあないか・・・本当についているんだよね?

何か不安になってきたんだけど?

うん、アリスにも入り口にいてもらおう

その方が俺の精神的にも良い気がする。


「二人とも待っていてくれすぐすませてくる」

「あ、う、うん」

「残念ですわ」


凛さん?残念がらないで?

トイレの中に入って行った俺は入口の方をチラチラと気にしつつも用を足していく。

終わったので手を洗っていると手前の個室が水音がした後にバタンと勢いよく開き中から学ランを着た男が出てきた。

髪を深紅に染め上げた短髪、射殺さんばかりの鋭い目付き、鼻の少し上に両目の下まで横にはしる傷跡、はい、誰が見ても不良、もしくは番長と言った感じのお方でございますね。

俺は特に反応しないように手を洗い終える。

備え付けのペーパータオルで手を拭いていると番長(仮)も手を洗い終わったのか学ランで拭おうとしていた。


「あ、はいコレ」

「あっ?・・おう、助かるぜ」


つい新しくペーパータオルを取って渡していた。

番長(仮)は手を拭き終わると俺の顔をジィーと見てくる。


「お前、見ない顔だな?」

「あー、今日転校して来たもんで」

「あぁ?つー事はあれか、お前が予知能力を使えるっつー輪道って奴か」

「そうそう、輪道 真澄って言うんだ、はっきり言って他の人達に申し訳ないよ珍しい能力だからSクラス入りとかさ」

「・・・お前、それマジでいってんのか?」

「うん?」

「・・・はぁー、あのよぉ、お前の能力が珍しいからってだけでSクラス入りは100%ねぇ」

「え?そうだったの?」

「他の奴らもその能力がとがってるからとだなぁ、あとは規格外だからだよ」


何か番長(仮)が俺の勘違いを一つずつ分かりやすいように説明してくれた。

Sクラス入り出来るのはsai値が1000~5000の者

しかし、その中でもさらにふるい分けされた

5%だけで能力が《成長》出来る者達だけだ


「良いか?だからお前も能力が成長するって訳だ」

「でも俺のsai値って0なんだけど」

「斉狐の野郎がなんか言ってなかったか?」

「あー、たしか特殊とか?」

「チッ、あの野郎・・・お前に何の説明もしてねぇじゃねえか!」


斉狐先生のあまりの説明のしてなささに牙を剥いて怒る番長(仮)、その大声に反応してアリスと凛が男子トイレの中に入って来た。


「どうしたの!?」

「何かありまして!?」


・・・詰め寄られてる俺、怒っている感じの番長(仮)あ、これ勘違いされない?


「伏義野と生徒会長かよ、んだよ、ここは男子トイレだ、女が入って来る所じゃねぇぞ」

「僕は男ですっ!」

「ボディガードですから大丈夫ですのよ」


・・・あれ?勘違いされてない?

「えーと?」

「輪道君、なかなか出て来なかったのは万場(ばんば)君と話してたの?」

「うん?」

「真澄、彼もボディガードの一人ですわ」

「あれ?そうだったのか?」

「あぁ、一応だが、手があいてたらしてやる事にはなってる「万場 英志(ばんば えいし)」だ」

「あ、よろしく・・・番長って呼んでも良い?」

「あん?まぁ他の奴らからそう呼ばれるのは多いが好きにしろよ」

「ありがとう、好きに呼ぶ」


番長はとりあえずトイレから出てから続きを話してくれた。

普段sai値が無く、ある条件下の時にだけsai値が上昇する者、特殊型能力者と言われているそれが俺らしい

そしてsai値が上昇する条件は俺自身の能力が関係していて寝ている時の夢を見ている時だけに限定して急激に上昇しているはずだと。


「はぁーなるほど、だから特殊と」

「ああ、まぁどんだけ上昇したりしていんのかは分かんねぇがな 並みの上昇率じゃぁねぇはずだ」

「ですわね、最低でも他の予知能力をお持ちのお三方は平均でも5000~8000と言う数値を叩き出していたはずですし」

「そうですね、輪道君の能力なら最低値でも軽く万を超えていてもおかしくなさそうですし」

「え?そんなに?」

「あくまでも最低値だよ?輪道君の場合はねその予知の的中力と言うのと何よりも事象の改変にあるんだよ」

「うん?どういう事なんだ?」


まず他のお三方の予知能力では起きてしまう事象の改変をしたり出来ないとか

何でもその時起こる事の強制力と言うのが働くらしく決定された未来を視るだけだとか

確か俺が夢を見たのはバスがトラックと白い車に巻き込まれて事故をする場面だった

その夢を何日か前に見ていてずっとモヤモヤしていた時にそれが起こってしまった。

不意に変えないと、と無意識にした行動だったから気にしてなかったのだ。


「って感じだったかな」

「・・・本物だな」

「ええ、強制力を無視した決定された未来への介入と改変、学園都市が素早く行動した事の深刻さ間違いなくそれに対して真澄の予知能力は完全なるイレギュラーであってはならない《神の御業》保護に動くのが少しでも遅れたら拐われて危険でしたわね」

「そ、そこまでなのか?」

「脅すわけではないですけれどそこまで危険いえ、まだましな方かも知れませんわね」

「うわぁ」

「輪道君、大丈夫だよ?僕が守るから!」

「ええ、あたくしも真澄を守りますから」

「ありがとう、アリス、凛」

「まぁ、オレも危険だったら助けてやるよ」

「ありがとう、番長」


俺は自分の能力の他との違いを知り狙われている危険性を理解した。

斉狐先生、もっと詳しく説明してくださいよ

頭の片隅にそう文句を言いながら・・・



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