第10話 性癖カミングアウト!!

<雪本 雪菜サイド>


『告白するのはいいが、今後の君たちのGoodENDを考えて、君はもっと本性を出していかないとダメだ。それを怖がって居ては前に進めない。いつかは、本性を見せないといけない。』


私は、5ちゃんねるのサイバー貴公子が書き込んだ言葉を思い出していた。


とりあえず、ASMRでの告白作戦は始動できた。


次は、本性を出すことだ。


相手を知るにはまず、趣味の話やらなんやらをするのが無難だ。


しかし!


別に友達になるわけじゃない。恋人関係になるにはもっと踏み込んだ話をしなければいけない!


私は勇気をだして、、、、言おうと思った。


私の、性癖を!!!!!!


<並木 充サイド>


「おーい、渡辺久しぶりに帰ろうぜ」


俺は放課後、渡辺にそう話しかけた。


「お、ようやくか。お前と帰るのまじで久しぶりだわ。俺も今日は部活ねえし帰れるぜ」


「結局なんの部活入ったんだっけ?」


「充、お前もう忘れたのか?野球部だよ野球部。前にも言っただろ?」


「野球かー。モテるためか?」


「それもあるが、それならバスケかサッカーやってるよ。まぁ野球でも、4番かエースなら、バスケやサッカーやるよりモテるけど、俺の実力じゃ、厳しいからなー。ただ単に野球が好きなんだ」


「ふうーん。俺も野球ゲームは好きだが、やるのは勘弁だ」


「お前、運動音痴だっけ?」


「いや別に?ただやるのが好きじゃないんだよ」


「そうなのか。男にしては珍しいタイプだな。ん?なんか鳴ってるぞ?」


「あーRISEだわ」


渡辺と帰りながら話していると、雪本からRISEがあった。また屋上へ来いという、雪本からの誘いだった。


「ちょっごめん。今日も用事出来た。一人で帰っててくれ」


「はぁ!?またぁ!?お前と久しぶりに深い話を交わしたかったのに」


「まぁ別にまた次の機会あるだろ」


「それはそうだけど、お前部活もやってないのに用事多くねえか?」


「俺、先生に目をつけられてんだ。これ以上の詮索は勘弁してくれ」


「はは、なるほどな。せいぜい勉強頑張れよ」


「おう。じゃあまたなー渡辺」


そう言って俺は、雪本が待つ屋上へと向かった。



「すみません。帰ってるところでしたか?」


屋上へ着くと、開口一番、雪本はそう言った。


「うん。でもま、帰り始めだったからな」


「それなら良かったです」


「で、用は何?話があるんでしょ?」


「はい。その、、えっと」


雪本はそう言って言い淀んでいた。


「何?言い難い話なの?」


「いや、、その。私の話です」


「はぁ、それで?」


「私の性癖に、ついてです」


雪本は目を泳がせた後、少し顰めっ面になって、そう言った。


「性癖ぃ!?なんじゃそりゃ、俺に話して何になるの」


「いや、、別に聞いてもらいたいだけです。あとその、一応あなたが声フェチなのを一方的に知っているので、不平等かなと思った次第でして、、」


雪本は何故か慌ててそう言った。


「お、おう、、で。なんなの?」


「私、男の人の匂いを嗅ぐのが好きなんです。所謂、匂いフェチってやつなんです」


「あー、たまにいるのを聞くな。もっとドギツイ性癖をぶちまけるかと思ったが、案外普通でガッカリだな」


「い、いやまだ続きあるんです!」


「まだあるの?」


本当に彼女は俺にそれを伝えて何がしたいんだろう、と俺は思った。


「並木くん、人の声を見分けられる絶対声感があるって言いましたよね?私もあるんです。人の匂いが見分けられる、絶対匂感が」


「マジで?人の匂い嗅ぎ分けられるってこと?」


「はい。そうです。何回か嗅いで、匂いを覚えたらいけます」


「そ、それはすげぇな……」


「人の匂いだけじゃなくて物とかでもいけますけど。人でも、服の洗剤の匂いとかで覚えるので」


「なるほどな、それで終わり?」


「性癖に関しては終わりですね。まぁ、あとは、男の人の首筋とか血管とかあと、スーツ姿とかが好きっていう結構あるあるの性癖はありますが、、」


「終わりかと思ったら結構あったな」


俺はそう言って思わず、笑った。


「あなたが笑うなんて、、珍しいですね……」


雪本は目を見開いて驚いていた。その反応は純粋なもので、少し可愛いと思った。


「べ、別に俺だって笑う時だってある

さ。でもう話は終わりか?」


「いえ、まだです!次は、私の主食の話です」


「まだなの!?」


俺は驚いた。まぁ、雪本の本性は意外と饒舌だから、別に驚くことではないかもしれないが、、自分の事をこんなに話すことは滅多にない。


「並木くん、好きな食べ物はありますか?」


「え?急に?俺は、そうだな……やっぱカレーかな。親の作るやつだ」


「ふふっ、なんか子供っぽい」


雪本は、口に手を当てて小さく笑った。


「バカにしてる?」


「いえ、男の子らしくていいと思います」


「お、おう……」


なーんか、今までと違って雪本のペースに呑まれているな、、俺。


「私はですね、ゼリー、ヨーグルト、グミ、プリンです」


「なるほど?いかにも痩せてるやつが好きそうなもんだな」


「それでですね。昆虫食とかにも興味あるんですよ」


「はぁ!?お、お前急に変わりすぎだろ!」


俺は驚いてそう言って笑った。ゼリーとかのデザート系から昆虫食にいきなり飛ぶとか突拍子もなくて面白かった。


「ぐ、具体的にはなんか食ったの?」


というか、俺、普通に虫苦手でそういうゲテモノ?とか食えねぇのに、聞くに絶えないのに、なんでそんなこと聞くんだ。と後の祭りで後悔した。


その時は多分、軽い感じで流れで聞いてしまったのだろう。


「うーん、まだですけど、ヨウチューブでそういう動画はよく見てます。例えば、セミの幼虫とか」


「うげえ……」


俺は自然に眉間に皺を寄せた。


「うげぇって言いますけど、めっちゃ美味しいらしいですよ?エビ?みたいで」


「それならエビ食うわ」


俺は冷静にそう突っ込んだ。


「エビもいいですね。エビで思い出しましたが、中国ではダイオウグソクムシも食べるらしいです」


「エビで思い出すな!エビで!」


「ダイオウグソクムシ、知ってます?」


「知ってるよ、、ダンゴムシみたいなやつだろ、、うげぇ」


普通に気持ち悪い見た目をしていて、あんなものよく食べるなと思った。


「なんでうげぇなんですか、見た目いいじゃないですか」


「は?雪本、お前、ガチで言ってる?」


「はい。ガチです。私、つまり、ゲテモノ好きなんです。それが言いたかったんです」


雪本は、正気のテンションでそう言った。俺からは狂気だった。


「そ、それは流石に俺でも勝てねえわ。負けました」


「対戦ありがとうございました」


雪本はそう言ってお辞儀した。雪本の見た目からはゲテモノが好きなんで、誰が想像つくだろうか。いやつかない(最近古典で習ったやつ)


「で、話はこれで終わりか?」


「あとは、、めっちゃ言い難い事なんですけど、、」


「まだあるんかい!」


「並木くんは、ゲームやりますか?」


「ソシャゲ以外で?」


「はい」


「やるよ。FPSとかモン○ンとかバイ○ハザードとか後は野球ゲームくらいか」


今思いつくのはこれくらいだ。


「なるほど。有名どころですね。私、鬼畜ゲーが好きなんです」


「鬼畜ゲー?」


「所謂、死にゲーですね。即死ですぐ死ぬやつです」


「それって楽しいのか?」


「難易度が上がれば上がるほど面白いですよ」


「すごいな。俺別にゲームとか得意じゃねえから無理だわ、あと、お前みたいにドMじゃないし。そんなんやったらイライラしそう」


FPSやモン○ンですら、上手くいかなかったらイライラする俺には無理だろう。そう思った。


「ど、ドMではないです!まぁでも、イライラしてしまう気持ちはわかりますね。特に、死にゲーとは別ですが、似たようなもので、下から上へ上がっていくゲームも結構やるので」


「あーあれか。上へ上がるのが超難しくて、でも、1回下へ落ちたらどんどん落ちてまた最初っからスタートのやつ。あれやったら俺、コントローラー壊す自信ある」


「ふふ、そういう人に一回挑戦させてみたいですね」


雪本はそう言って、不敵に笑った。


「でもやっぱりそういうゲーム好きなのはドMじゃね?」


「ち、違います、と言いたいところですがまぁそれを少しはあるかもしれません。ただ!それだけじゃなくて、私、グロいゲームとかバイオレンスな映画も好きなのでそこはドSじゃないですか?」


「どっちの立場に立ってるかによるな。もし、やれる方の立場に感情移入してるなら、、」


「ノーコメントでお願いします」


「うん。何となく察したわ」


「と、取り敢えず、最後に言いたいことは、このブラッドソウルっていうゲームやってください!このゲームは、グロゲーと死にゲーを合わせた究極のゲームです!難易度もちょうど良くて、グラフィックもいいですよ!私の一番のオススメです!」


「はいはい、やるからやるから。もう話は終わりだな。じゃあまた明日」


「絶対やってくださいね!」


俺はその場から立ち去ろうとして、背中からそう声が聞こえた。


雪本にこんないろんな一面があるなんて、思いもよらなかった。


だけど、やっぱり俺の見込んだ通り、雪本は面白い奴だった。


ブラッドソウルか。雪本があんなに熱く語っていたし、一回プレイしてみるのも悪くないかなと思った。



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