『わからない』が生む恐怖

 よくある初秋の散歩道にて、気まぐれな足どりから出会った境内の謎。女の人の正体は……?
 文章表現や挿絵に幻想的な情趣があって、具体的な怪奇現象は何ひとつ起きていないながら、ひとしお胸騒ぎを覚えました。上着の下に何を纏っているのかわからない、というのは伏線のように感じました。
 それと、無人販売所の何気ないシーンなど、田舎暮らしに憧れを持たせてくれる情景描写が個人的なお気に入りです。