雪解けと溶けない想い

きりえ

プロローグ

ねぇ、君はアイスバースって知ってるかな?

知らないかな、でも無理もないよね。特殊なものだからさ。


アイスバースっていうのは、人の持つ第3の性ってやつかな。ほら、男と女みたいに、アイスとジュースってのがあるんだよ。まぁ全員にある訳じゃなくて、それぞれ一部の人しか持ってないんだけどね。


でね、それがあるとどうなるかっていうのが本題。アイスとジュースが結ばれると、なんとアイスは溶けて無くなってしまうんだよ。皮肉だよね、結ばれた途端に溶けて死んじゃうなんてさ。


それでも、この世には恋愛絡みでアイスが溶ける死亡例が沢山あるんだ。一体なんでなのかは分からないけれど。でも、私はこう思うんだよね。きっとアイスとジュースは惹かれ合う運命にあるんじゃないかってさ!


なんて、ちょっとロマンチストすぎたかな?でも本当にそう思ってるんだよ。私もそうだったから。


ん、私?私はアイスだよ、残念ながらね。溶けて消えちゃう哀れなアイス!

でもせめて、溶ける時は何かを残してから溶けたいな。ただの哀れなアイスだって思われたくないからね。


これから綴るのは、私の溶けるまでの物語。

哀れなアイスにはなれなかった、私の物語。

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