声しか知らないお嫁さんRe:start

結月アオバ

声しか知らないお嫁さん

プロローグ

「ふんぐぐぐ……」


 モニターに映る、ゲーマーであれば誰しもがあまり見たくない文字列である、『GAMEOVERA』がおどろおどろしく表示される。


[みぃ]『難しすぎて草』

[メリィ]『むむむ……まーたコンマ1秒の連携ズレだよぉ』


 カタカタカタ、とキーボードを入力して、もう一年半もの付き合いとなる相棒にチャットを送る。


[メリィ]『やっぱり、無謀なのかな』

[みぃ]『いや、そんなことは無い!あともう少し……チャットによるラグ連携ミスさえなければいけるよ!』


 だがしかし、やっていることは本当に無謀に近いのだ。せめて……せめてラグ連携さえどうにかなれば………。


「…………」


 一瞬、打とうとした指が止まった。確かに、クリアするためにはもうあの方法しかないと思うが……断られたらどうしよう。


「………ええい!ままよ!」


 しばし葛藤し、それでもと思って相棒にチャットを送る。返ってくる反応次第によってコンビ解散も有り得ます。


[みぃ]『あの、ボイチャしながら攻略しませんか?』


 正式名称ボイスチャット。簡単に言えば通話。これさえ解禁できれば、チャットで連携を取らなくて済むので、このダンジョンもクリア可能だろう。


 だがしかし、こういうゲームしかり、FPSしかり、大多数の人間はボイチャはしないし、知らない人とボイチャをするのは怖い。


 一応、俺とメリィさんは一年半の付き合いがあるが、それはゲームの中だけでほぼ知らない人だ。


 チャットを打って、暫く時間が経った。何も返ってこないので、はいこれ嫌われ確定ですと思い、『やっぱごめん、忘れて』と打とうとした瞬間──────


[メリィ]『……うん、いいよ。私もそろそろ攻略したいから』


 ────まさかの、返事はOKだった。


 ヘッドホンから、ブツっ!という通話がONになった音が聞こえ────


「……えと、初めましてみぃくん……メリィです」


「…………」


「え……あの………みぃくん?」


 ───俺は、この声に恋をしてしまったんだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

やぁみんな。O☆MA☆TA☆SE☆


ということで、私の原点にして頂点である『こえよめ』リメイク版。始まります

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