第26話 女難

 ── 機動新撰組屯所 ──

沖田聡子おきた さとこside】


「そうか、……」

 永倉八重ながくら やえ斎藤波津子さいとう はつこからの報告メールを見ながら歳さん土方歳絵は思考の海に沈んでいる。


 腕を組み目を閉じて考えるのは歳さんのくせ

 付き合いの長い私や山南さん山南敬子は邪魔をしないように静かにしていた。


 芹沢鳩子は外道ではないが非道、悪人ではないが悪党と機動新撰組の中、近藤派の中では共通認識であるが……


「クッ クッ クッ、あの芹沢鳩子が惚れた相手だと……」


 女難の相でもあるのだろうか、茨城恭介

 彼に興味を持つとしさんが増えたことに、私は同情した。


 歳さんは男に興味を持っていなかったハズ。

 しかし、悪党の芹沢鳩子が惚れている男が、ただの男であるハズが無い !

 土方さんに目を付けられたとは……スマナイ少年、私には土方さんを止められない。

 パソコンを使い来年度の新入生を調べ始めた土方さんが、ピタリと動きを止めてディスプレイに釘付けに成っている。


「なるほど、将来が楽しみな美少年だな。

 ショタ好きの青薔薇や芹沢鳩子が御執心に成るのも解る気がする……

 聡子、この少年をオレが奴等から奪ったら面白いと思わないか ? 」


 あぁ、歳さんの悪い癖が顔を出している。

 人の嫌がることを嬉々としてやるんだよなぁ~。

 これでは、どっちが悪党か判らないよ。


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