第14話 光の庭

 敵拠点襲撃から数時間後、ゲヴァイト達はいつもの元開拓村に存在する草臥れた一軒家に集まっていた。

「さて、皆も見た通りこの計画書に寄れば、デルタを除いた三人は私が確保しなければこの王国の王都に連れて行かれる計画だった。

 また、ここ最近の輸送計画書が無い事から、アルファによって男爵領を通過しての輸送計画の凍結が示唆されている。

 その結果、我々は行動範囲の拡大を余儀なくされている。

 が、今の人数で行動範囲を拡大したところで、出来る事等たかが知れているだろう事は想像に安いだろう。

 そこで、私は本格的に聖堂騎士団…いや、テトラグラマトン教団と事を構えられる様にする為の組織作りをするべきだと思い至った。

 それに対して皆の意見が聞きたい」

 アルファから順に言葉が聞こえてくる。

「勿論私は賛成よ」

「主様がそう仰られるならば何処までもお付き合いさせて戴きます」

「我が身は主様の導くままに」

「ご主人様の言うことを聞かない奴らはぶっ飛ばす!」

 四者四様の言葉が返ってくる。

「ふむ、では、今後組織として活動するにあたり、組織名を決めたいと思う。

 とは言え、既に一つ案は考えていてね。

 それは…光の庭ガートゥン・ディス・リヒト

 私達が助け出し、癒やした腐肉病患者達の光の庭となる様な組織となる様にと、考えてみた名前だ。

 どうだろうか?」

「ガートゥン・ディス・リヒト…」

「人々の寄る辺となる場所」

「流石は主様です」

「ご主人様、カッコイイ!」

「ふむ、反対意見は無い様だね。

 そして、君達四人はこのガートゥン・ディス・リヒトの初期メンバーでもあり、これから中核メンバーとなる事から、今後四光という称号で呼ぼうと思う」

 今はまだまだ小さな組織だけれども、ここに腐肉病患者を助け幇助し、テトラグラマトン教団と戦う組織、ガートゥン・ディス・リヒトが立ち上がった。

 そして、今後一緒に長い戦いを支えてくれる仲間となる四人…四光であるアルファ・ベータ・ガンマ・デルタもいる。

 辛く険しい道のりになるかもしれないけれども、様々な人々の光の庭としてあれる様に、ガートゥン・ディス・リヒトは存在し続けたいと思う。

「さて、では現実的な話しをしようと思う。

 先ず直近の課題なのだが。

 私の生家であるヴァクストゥム男爵家の問題だ。

 これに関しては常に誰か一人監視についてもらい、今後の動向を探る方向でいきたいと思う。

 昼に関しては私が監視をするので、夜は交代制で監視を頼みたい。

 また、これは私事わたくしごとになってしまうのだが、余裕があれば姉さんの事も気に掛けて貰いたい」

「そうね、聖堂騎士団が貴方のお姉さんを諦めたとは言えない状況だものね。それは当然の心配事だと思うわ」

「ありがとうアルファ。

 また、それと並行して仲間を集める事もしていかなくてはならない。

 これに関しては、他領に赴き情報を収集し、腐肉病患者輸送を妨害し、腐肉病患者を確保し癒やす事で確保する方針で行こうと思う。

 勿論、腐肉病を癒やした人が私達の仲間になると思ってくれ時だけを対象にしたい。

 それ以外の対象については、出来得る限りのバックアップをし、生活に困らない様に面倒を見る方針だ」

「そういえば、貴方も本名では無くてコードネームが必要だと思うのどうかしら?」

 と、アルファから提案が。

「私にコードネームか…何かよいか。

 そうだな、今パッと思い着いたのだと、ライヒ、なんてどうだい?」


 それからの日々はそれまでにもまして訓練の強度を上げた。

 今現在たった五人で活動しなければならないことを思えば当然で、一人一人の生存能力を上げなければいけないからだ。

 そうして訓練に励みながらも、情報を収集するも何も捗らない日々が続く中、私は九歳を迎える事になった。

 そして、その頃に私の元に一つの報告が上がってきたのであった。

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