高2病

ひじま

プロローグ

 俺の友達、柏木かしわぎはまじで興味ないとめっちゃ棒人間になる。

棒人間って言うのは俺等の中だけで使う言葉で、意味はそのまんま「ボーっとして話聞いてない状態で気に食わん」ってこと。他には細ガリ、ガリ勉、...強ガリも。

 そんな柏木が最近棒人間にならなくなった事を柏g...もうめんどいからカッシーって言うけど。...の、クラスの人達が言ってたらしい。

 

「ほんとなん?その話って」


正直どうでもいい感あるけど、一応興味ある感じで、口元を隠しながら囁く。

すると、わざとらしい感じであたりを見回すふりして、相手はコクコクと頷いている。何を喋るわけでもないのに口元を手で覆っていたが、その表情は悪いことを企む悪魔のようだった。心なしか口裂け女ばりのスマイルが見えた気が...する。


そんな需要ある話か?カッシーだって興味のあること1つや2つあるだろ。

そんなことを考えてると、わかりやすく嬉しそうな顔を近づけて囁く。


「柏木に好きな人がいるとかなんとか。マジで意外じゃね?」


その瞬間視線がバチッとあった。



「...いや?てかまじかあいつ、そんな素振り一度もなかったのに」


思い当たる節はない。俺がいないときになんかあったのか...

そこで俺はふと、思い出した。

いつかは忘れたんだけど、多分先週あたりのこと。

何言ってたか覚えてないけど、すごくほんわかしてた...


「...あぁ、クセすごかったときだ」

「え」


「そんなことよりトイレ行ってくるわ」

「だれか知ってんの?!教えろよ!」


無視して教室を出ようとすると、向こうから背の低いやつが歩いて来るのが見える。

軽いパーマがかかっており、廊下の窓から光が指して照らされた髪は明るい茶色に見える。何も考えてないんだろうその表情は、さながらモデルのようだった。なんでだ、まじで。


「...え、なにあの人、かっこよ」



振り返るといつの間にか背後に回ってきていたらしい。俺を壁にしてアイツのことをチラチラと確認している。たぶん今、こいつの頭の中は「なにあの人、かっこいいー!!」しかないんだろうな...。

色々と言いたいことはあったが全部飲み込んで、とりあえず適当なことを伝えておくことにした。



「あいつが柏木、あいつの好きな人も...柏木。いうなればナルシストってことな」



......嘘はついてない。許せ、カッシー。

残念がるのを横目に、目の前を通り過ぎていくカッシーに心のなかで謝った。

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