第12話

 普段パーティー会場として使われているフロアは、降魔師こうましの子供の託児所となっていた。

 カーペットは敷いてあるもののこければ痛い。そのため、積み木や人形、絵本など走らない遊びが基本となっているようだ。



「子供達はここにいる保育士の方々が見てくれますので安心できますね……」



「上は十歳以上下は乳幼児まで幅広いですし、万が一妖魔や怨霊が出てもバイトの子達が対処してくれます」



「バイト?」



「協会に所属している未成年の降魔師こうましがバイトをしているのよ」



「保育士だけじゃ数が足りないから……それに降魔師こうましって兄弟多いから小さい子の扱いが上手いのよ」



 『懇親会』と言っても来賓は、各家の当主や跡取りの男子とその子供でしかない。

 降魔師界隈も一般的社会と同様に、男女平等の機運は高まっているものの一般女性との婚姻に比べ降魔師同士、あるいは降魔師の家系同士の方が次世代が産まれやすいらしく、女性には早婚が求められている。


 これは現作と現在の保育園状態の現場を見ての感想でしかないが……だから男尊女卑の屑が原作にも出て来るんだよ。



「ここにいる子達は降魔師の子供つまり、勇樹ユウキと同じ境遇のお友達です。友達が出来るといいわね」



 周囲を見ると子供がメインのここは、交流会と言うよりは託児所に見える。

 母親たちは子供の相手をしながら談笑している。

 中には習いたてなのか術を使おうとするものまでいる。


これは酷い。


 今世では従兄達やお手伝いさんとしか遊んでこなかったため少しばかり気後れする。



ミナトちゃんと瀬織セオリちゃんと仲良くするのよ?」



「はーい」



 どうやら俺に拒否権はなさそうだ。



「手を……」



 ミナトちゃんは、お姉さんぶりたいのか俺達に手を差し出す。

 どうやら手を握れと言うことらしい。

 日本人形然とした容姿の彼女の手を取る。

 快活な瀬織セオリちゃんと違い大人しいようで人形コーナーに向けて歩みを進める。

 二人のおままごとに付き合うことは吝かではないが、周囲の特に大人の視線が痛い。


 同年代の少年少女からすれば、芸能人よりもずっと魅力的で家柄も申し分ない美少女に手を引かれる俺は「誰だアイツ」案件だろうし、大人からすれば自分の子供脅かす存在に見えるだろう……


 幸いなことに俺の対象年齢は女子高生からだ。

 幼女には興味はない。



「私は安倍晴明あのべのせいめいの妻よ。伊吹イブキ挨拶なさい」



土御門伊吹つちみかどイブキよんさいです」



 しっかりと挨拶をしたのは安倍晴明の息女……つまるところ次世代の降魔師こうまし界隈を支える姫と言ったところだろう。

 そしてエレベーターなどでの話を纏めると、俺の婚約者になるかもしれない少女だ。

 顔立ちは可愛いい系と言った感じで薄い茶髪がふわりと舞う。

 きつね耳で巫女を着れば人気が出そうな感じだ。



ミナトちゃんウチの娘をお願い出来る?」



「うん。わたしお姉さんだもん」



「じゃあ頼むわね」



 俺を除く三人は知り合いのようで……お人形遊びを始める。



 しかし暫くすると飽きた様子で人形を放り投げる。



「あきちゃった」



「オニごっこしたい」



「だめだよヘヤの中だとアブないし」



「ダイジョウブよぬいぐるみにジュフをいれると……ホラ動くようになったわよ」



そう言えば車の中で式神の練習をした時も、縫いぐるみで練習したことを思い出した。



「みんなぬいぐるみはもっているでしょ?」



「「うん」」



 どうやら三人とも自分の縫いぐるみを持っているようだ。

 ミナトちゃんが持っているのはクマの縫いぐるみ、瀬織セオリちゃんは狐、伊吹イブキちゃんはよくわからない鳥そして俺はペンギンだ。


 呪力や霊力と言ったエネルギーは物資に込めることで簡単に安定すると父さんに教えて貰った。

 そして式神には大きく三つの種類が存在する。


 1つ、この世にいる鬼神・神霊を、使役する『使役式』


 2つ、異界より鬼神や神霊を喚び出し使役する『召喚式』


 3つ、紙や形代に、自分や誰かの呪力を籠める『思業式しぎょうしき・人造式』


 今回の式神は三番目の『思業式神・人造式』で、最も汎用的ながら奥深い術と言われている。




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『あとがき』


 読んでいただきありがとうございます。

 本日から中編七作を連載開始しております。

 その中から一番評価された作品を連載しようと思っているのでよろしくお願いします。

【中編リンク】https://kakuyomu.jp/users/a2kimasa/collections/16818093076070917291


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