第2話

「パソコンだバカ」

 俺を拾ってくれた小さな会社で、出社するなり仕事を振ってきた上司は、タバコでも吸おうというのか、面倒くさそうに事務所から出ていった。

 選ばなければ、人手不足の昨今、働き口はある。

 そんな気楽さで就職活動を始めた結果が、これだった。

 みじめだった。

 子どもの頃の俺が、今の俺を小馬鹿にしているような気がしてならなかった。

 面白くないので、仕事を始めようと思って自分の席に着いてみると、目の前にはもう、書類の束が積んである。

 これをパソコンに入力しろというのだ。

 俺はため息をついた。

 自慢じゃないが、こんなものは使ったことがない。

 スマホがあれば、文章も書ければ計算もできたからだ。

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