群青
紫田 夏来
プロローグ
プロローグ
ああ、何回これを観ただろうか。何度も何度も観たのに、まだまだ何回でも観たい。
今日はよく眠れなくて、四時に起きてまった。かつては二時に起きて、それから眠れないこともあった。あの頃に比べれば、遥かにマシかもしれない。でも、よりによって今日、目はぱっちり冴えていて、これじゃあ車で寝落ちしていまいそう。目を瞑っておこうかな。
瞼の裏に甦る記憶。
もう何もしたくない。永遠に眠ってしまいたい。あれは高校二年生の夏だった。
向上心の塊と化し、努力していた。でも、苦しさに蓋をしていただけだったのかもしれない。自分の価値を確かめたかっただけだったのかもしれない。
重ねた経験は痛みに変わり、想い出の価値すらなくなる前に、全てを消し去ろうとしていた。そんな私だから、また多少身体に鞭を打ってでも、大暴れしたいと思えたんだろう。
小学校の運動場で鬼ごっこ、夕焼けの野山で冒険気分、夏の夜の墓場。そんな子どもの世界を知らずに大人になった私は、虚構に惚れていたのかもしれない。トロイメライなど所詮架空のもので、この世が綺麗なはずがない。それでも人は美を求め、ユートピアを探している。子供の世界は汚くて、大人の世界も美しくない。私は、どうかな。全部を白で塗りつぶして、美しく変われとるやろうか。
今の私が「子供の情景」を弾いたら、昔とは違うものになるやろね。大人から見た子供の世界を表す曲たち、子どもの夢を描いた曲。
私にアオハルはなかったけど、遅めの青春ならできてるんやろね。
次なる青を手に入れよう。
今こそ、試練の時が来たんだ。は私が言うことやなくてさ。
でも、あれはある種の夢で、今となっては淡い思い出って、こっちも私なんよ。
私はいつでも、空に輝いとるからね。
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