読まれることのない手紙 十ハ通目

「運命だよ」

苦し紛れにはいた、僕のせりふだった


「うそだ!」

「いつものあなたなら、運命だってねじ曲げてみせるって言う!」

別れる嘘の理由を君に告げ

君に食い下がられて

弱気になった僕を君は見事に言い当てたね


そう、いつもの僕ならこんな事けっして言わない


・・・

でもね、僕は本当にあのとき

生まれて初めて「運命」の存在を感じたんだよ

自分以外の何かあがらいがたい大きな力が働いていることを感じていた


あれが本当に「運命」だったのか

僕にもわからない

ただ、あの大きなうねりを通りぬけた今

僕はここにいて、君はもうここにはいない


その現実だけが、確かに僕の前に横たわっている


to Haruka from S

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る