読まれることのない手紙 六通目

「負けられない」その一念だけだった

僕の中にはもう何も残っていなかった

君と別れて、友人も家族も、何もかも失い

僕にはもう、

走ることしか残されていなかった

望んだとおり、たった一人で戦うしかなかった


孤独な極限の戦いの中でも君は僕を支えてくれた

「あんな別れをしてまで選んだ道だ、

絶対に負けるわけにはいかない」

 

自分の持っているすべてを

先のことなど恐れず

今にすべてを注ぎ込める覚悟を僕は手にした


Haruka、約束は果たせなかったけれど

僕は全力で戦って

もてるすべてを出し切って

そしてわかったんだ

この道は僕の進むべき道ではないということが


君に報告できなかったけど、

君が望んだように

僕は果敢に戦い抜いたんだよ


to Haruka from S

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