ちょっと待って、その進化!

中立武〇

第1話

 俺の従魔は光り輝き宙に浮いた。ヤモリの体は大きくなり、人の体となる。そして顔が、今まで見た事の無い美少女に変わる。


「お、おお。」


その美しさと様子に思わず声が漏れてしまう。そして衝撃波と共に、


バシッ!


体格が変わって角、顎、翼、尻尾、鱗がしっかり生えたドラゴンになった。


「ありがとうございますマスター。これで私も立派なドラゴンにな」

「ストーップ!」

「はい?」

「ちょっと前に戻れない?」

「何言ってるんですか。」




ここは剣も魔法もドラゴンもあるけれど、普通に車も飛行機もスマホもある世界。どこかで戦争は起きてるけど、この国は結構安全。


そんな中でも格差はあって、従魔というペット兼相棒みたいなのが生活のステータス。俺は従魔召喚の儀で肩透かし喰らったもんだから、子供の頃にその辺で見つけた背中にイボ生えたヤモリみたいなのを従魔にして今大学二年。


進化どころかサイズ差も変わらん日々だったけど、昨日腐れ縁の幼馴染に変な肉をもらい、それを食べさせたらちゃんと進化したのだが。


「ねえ、ちょっと途中ですごい美人になったんだけど。そっちの方がありがたいんだけど。」

「何言ってるんですか、私達ドラゴンと人間ですよ。ドラゴンカー○ックスとか好きなクチですか。」

「え、いや、そうじゃなくてさ…。」


いや、あれすごかったよな。一応横で動画取ってたスマホを見直してみる。やっぱりすごい美人。


「いや、やっぱ前の方が…。」

「モテないからってちょっとそれは。未熟児の私を拾ってくれたのは感謝してますが。」

「ええ、いや。うーん、それでもさあ。」

「大体進化は成長と同じなんですから。レベルアップは出来てもレベルダウンは無理です。」

「えー、あー。うーん。」

「はあ、全く。」

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