また一歩、扉を開けて

ねくしあ@『暗殺者』毎日投稿なう!

「終始」(お題:スタート)

 人生には、始まりと終わりが必ず存在している。


 一番大きな括りで言えば、誕生と死亡。この二つだ。その大きな括弧の中で、更に括弧がある。学生の身分で言えば入学式と卒業式だろう。


 ――僕は中学の入学式をよく覚えている。


 僕が小学生六年生だったころ、一つ上の先輩が中学校についてを説明しに来たことがあった。体育館に皆で集まり話を聞いたのだ。それは希望に満ちていた。小学校に比べ、中学校は新しく綺麗だ。それも相まってか、幸せで充実した生活を送れるのだと、とても胸を躍らせた。

 

 その中で迎えた入学式。その日始めて学ランに袖を通し外に出た。歩いていくその一歩一歩が、なぜだかとても新鮮だった。そして到着し、クラス名簿を確認した。

 小五から仲良かった女の子とクラスが離れたことは強く記憶に残っている。互いに残念がったのは青い春の思い出の欠片だった。


 そしてクラスに入り、卒業式ぶりに会った友達と話をした。時間になり、小学校よりもずっと広い体育館へ移動した。

 そこは外からの光が少し眩しいくらいに入ってきていた。広い体育館いっぱいに並べられたパイプ椅子に座り、「同級生」である数百人を見渡した。その壮観さは忘れられぬ情景だろう。同じ服を着た人々など、当時の僕は見たこと無い光景だった。


 今は冬、中学も三年生で三学期が始まった頃。あと数ヶ月でこの生活も終わりを告げ、新天地が僕らを待っている。


 卒業式は寂しい。けれど。それ以上に。もっともっと思い出に残る、希望に満ち溢れた入学式になりますように――



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