第4話 初めての危機と聖属性魔法

「グハッ、ガッ!?」

 事実片腕が負傷してから戦闘の流れは一気に向こう側に傾いた。


 痛みにより思考は鈍り、その思考の鈍りが新たな被弾を生む。

 その上短期決戦に持ち込もうとするには片腕をやられている為スピードが足りなかった。


 勿論逃げようと思えば逃げる事は可能ではあるがだけはしたく無かった。


 勿論ゲームなどでも圧倒的レベル不足などなら逃げて出直すのだが今回はまだやれる余地がある。俺が持っているもう一つのスキル『聖属性魔法』、聖属性は大体の作品で回復、バフ、アンデット特効が使える属性である。


 ここで大事なのはを使える可能性が高いということだ。


 魔法に関してはダンジョン情報をもたらしたあのスネークも報告しておらず分かってる事は何も無い為、次に安全地帯セーフティーエリアを見つけた時に実験しようと思っていた…が今この危機にそんな事言ってる場合では無いのは明確である。


「大丈夫、今までの人生も勘と運で生きてきたんだ。なんとかなるさ、大事なのはイメージ…」


 再び集中状態に入るが命の危機だからか今までより深く集中出来ている様な気がする。いわゆるゾーンか極限状態って奴だろうか、今の右肩の怪我で特に酷いのは犬歯の部分、恐らくこの他よりも深い傷が骨を砕いている。

 他の傷も深くはあるが精々筋肉で止まっている。


 この傷を細胞を超活性化させて埋める様なイメージで『回復ヒール』と唱えると何かが抜ける違和感と共に肉がモコモコと生えてくる光景が俺の肩で起こっていた。


「うわっ…リアルで見ると想像以上にグロイなこれSANチェックものだぞ…」

 などとぼやきながら肩を動かすと普通に動く…なんなら筋肉を魔法で再生させて超回復が起きたのか再生前より動く気がする。


「まぁ肩以外は治してないから速攻で狩るぞ?」

 両肩を万全に使用可能でその上極限状態に入っている今、コイツらは敵では無い。


「さっきの『回復ヒール』の行使で掴んだ魔力操作の感覚で…魔力を木刀に薄く這わせて纏わせる…」


 木刀を腰に構え居合の準備を行いながら同時に魔力を纏わせる。

 当然ゴブリン達は隙だらけだと襲ってくるがその攻撃が届く前に既に攻撃準備は完了している。


「刀術もどき一の太刀『魔刀 閃』」

 振り抜いた木刀はゴブリン達の胴体を横一線に切り裂きその姿を魔石へと変じさせた。


 振り抜いた状態のまま残心…魔石が顔に当たったのは気にしてはいけない、調子乗りたかったんだ。だってラノベ好きだし…


「俺はまだまだ強くなれそうだな」

 そう言いながら『回復ヒール』を他の傷にかけてから魔石を拾い出す。


 魔石まで飲むと体が熱くなったので多分レベルアップしたはずだ。


「『ステータス』」


 ネーム 東野 建人ひがしの たける

 レベル 6

 MP 50/63

 SP 143/173

 蓄積魔力0


 スキル『鑑定』『魔力操作』new!『魔力超回復』new!『過剰魔力蓄積』new!『並列詠唱』new!

 ー特殊魔法ー

『神聖魔法』new!


 ー基礎魔法ー

『聖属性魔法』

 1回復ヒールnew!

 2 聖炎new!

『無属性魔法』new!

 1武装強化new!


 称号

 ーレア度Sー

『魔石喰い』『魔法使い』new!『聖属性の使い手』new!


「スキルと称号増えたぁァァァ!? 何かしらで増える可能性はあると思ってたけど、ダンジョン内での行動によってスキルが手に入る可能性があるパターンか… んで魔法は使うとステータスに表示されるのか? スキルにある属性はいわゆるスキルツリー自体でスキルツリーの枝部位が武装強化の枠か… でもレベルアップで全然知らないスキルも覚えれたら良いなぁ…」


 称号はこんな感じだ


 称号 『魔法使い』

 レア度 S

 獲得条件 人類で初めて戦闘中に魔法を使う

 特殊効果

 1 全魔法への適正を獲得

 2 スキル『魔力超回復』を入手

 3 スキル『過剰魔力蓄積』を入手

 4 スキル『並列詠唱』を入手

 5 魔力との親和性が上昇

 6 魔法発動時に必要な魔力減少

 7 魔力成長率倍加


 称号 『聖属性の使い手』

 レア度 S

 獲得条件 人類で初めて戦闘で聖属性魔法を使う。

 特殊効果

 1 聖属性魔法発動時の必要魔力減少

 2 聖属性魔法の効果上昇

 3 聖属性魔法の成長率倍加

 4 特殊魔法スキル『神聖魔法』獲得

 5 特殊魔法『聖炎』獲得


「は?何この化け物スキル?純魔ビルドで必須級だろ。てか称号で増えるスキルや魔法もあるのね」


 上がったステータスにワクワクしつつも称号に少しビビりながら次の標的を探す為に辺りを見渡すと取り損ねていた牙?と棍棒を発見した。


「あれ?こんなの今まで落ちてたっけ、レアドロか?『鑑定』」


 武器名 ゴブリンの棍棒

 レア度 E

 武器種 棍

 特徴 ゴブリンが持っていた棍棒、見た目は太い枝をそのまま使っている様だが持ち手は研磨されており良く手に馴染む。

 武器として使用可能


 アイテム名 コボルトの牙

 レア度 F

 特徴 コボルトの牙、とても鋭く岩すらも噛み砕く、サイズは片手に収まる程度なので武器としての運用は難しい


「えっ武器も落ちるのか!?いやまぁダンジョンものでは定番中の定番だけど…」

 などと拾いつつ悩んでいると棍棒を拾った途端身体が熱くなる感覚に襲われる。


 疑問に思いステータスを開くと称号が追加されていた。


 称号 『武器収集家コレクター

 レア度 S

 獲得条件 人類で初めてドロップした武器を入手する。

 特殊効果

 1 武器のドロップ率がUP

 2 スキル『アイテムボックス』を獲得

 3 『アイテムボックス』内に武器があると一つごとに全ステータス上昇

 4 全武器への適正を獲得

 5 全武器の習熟度が上昇


「またブッ壊れ称号かよ、こうもポンポン増えると有り難みが無くなるんよ…てか獲得条件人類で最初系ばっかだがもっとみんな入って色々やってるでしょ?あっでもあんまり広く無さそうなのに全然人見ないな、ネット民とかもっと来ると思ったのに何故だ?…」

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