たった一人(?)の陰キャ。

いーちーわっ!〜か、顔真っ赤だよ?〜

はぁぁぁぁぁぁ…。俺がこんなため息をついてるのには訳がある。


そう、こんな学校だったとは思わなかったのだ!

普通に厨二病しかいない。どうしたらいいんだよこれは。

俺別に厨二病じゃないし、ドラゴンシャーク‼︎とか言わないしそういうゲームとかやってないし…。なんかこういう否定ってそういうふうに見られるよね。だるいよね。


そんな思考巡らせているのは教室。1年β組だ。えまって名前からして嫌な予感しかしない。どうしたらいいんだよこれ。


とりあえず出席番号で振られたと思われる席に座る。窓際から2番目の1番後ろ。後ろの奴に何か見られる心配はないし、自分も気遣わなくていいから楽だしありがたい。一つ欲を出すなら…窓側が良かった。「ぐう。」と寝れるからだ。そんな夢は、隣の奴が叶えている。

「…ぐう。」

寝てるやん。これが普通。


え、普通?待ってもうすでに感覚麻痺してるんだけど誰か助けてくれ。

まぁそれは置いといて。始まるまで寝ようか…と思った時肩を叩かれた。




「…あ、あの、」

そう言ってきたのはむにゃむにゃしてる窓側と逆の人。つまり、俺の右側の人だ。

「ひ、にゃいっ!!!なんすかかかっか」

思わずテンパってしまうと向こうは何も思わぬ顔で

「平鮫遥亜です。よろしくね」

いきなり名前言うとかすごいなこいつ。インキャじゃねえ陽キャだこいつ。俺と関わったら染まってまうぞこいつ…。

「漢字どういう感じ書くん…?」

ちょっと遠慮してしまったけど、聞けたと思う。多分。俺感覚麻痺してる。

「平に鮫でひらさめ、遥か遠くの遥に亜熱帯の亜ではるあ…です!」

この人しっかりし過ぎてて怖い。絶対成績優秀やんけ。俺関わっていいのかこれは。どうしよう先生すぐ席替えしてくれ。


「そちらの名前はなんていうんですか?」

「あ、お、俺、は…そ、その…」

どうにも、俺はテンパってしまってるのか顔が真っ赤のまま硬直してしまった。

自分でもわかるくらい顔が真っ赤でやばいことになっている。

名前聞かれるとかマジでなかったし、普通に「隠キャ〜」で終わりだったからどうしようもなくてマジでどうしよう。


「だ、大丈夫?」

いきなりすぎてまたビビったけど、おかげで冷静になれた。

「…ごめん俺やばかったよな。名前は晴氣渦夜」

「待って漢字教えて書くから」

即答すぎんかこいつ。やば。すごい。

カバンから一瞬でペンとノート出して目をキラキラさせながらこっち見てくるし。すげえなほんま。


「晴れるに汽車の汽の右側の中に米書いてはるき。さんずいの渦に夜でうずや」

「お、おぉぉぉぉぉぉ!」

かけたと思われる彼女は、すごい目をキラキラさせてノートを天井に平行にしながらずっと感銘の声を漏らしている。正直言ってアイドルオタクそう。


そんな眼で見てたのがバレたのか、彼女はこういった。

「そうです!私アイドルオタクなんです〜!」

やっぱりそうだった。



「名前が普通に聞きたかったのと、上靴とかにいい名前が書いてあったので思わず聴きたくなっちゃって…すいません!」

「いや、こちらこそ。よろしくな」


「はいっ!こちらこそぉっ!」




なんか謎に舞い上がられてるけどまぁいいか。最悪な気がしてた学校生活は、まぁまぁなリア充で幕を開けたのだった。

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