異世界ファンタジーの原風景

物心がついて、一番初めに触れる「ファンタジー」ってこうだったよなぁ、と思わせてくれる一作でした。
挿絵付きの児童小説を読んでいるようで、心が温まると同時になつかしさも感じた。


ストーリー展開の面白さはもちろん、「エルセトラ」という世界への愛着が凄く湧いて、読み終えるのが切なくなってしまった。
ともに旅をする、燕尾服を着たカエル、空を泳ぐ白いクジラ、木彫りのカッコウ、他にも登場するキャラクターたちみんなが愛おしい。


現実の世界に抑圧された少女が、非現実に連れ出されて壮大な冒険をするさまは、異世界ファンタジーの原風景を思い出せてくれた。

主人公の真珠ちゃんはこの幼少期の思い出を一生忘れることなく生きていくんだろうな、とエピローグを読み終えて感傷に浸ってしまう。


なろう系ではなく、児童小説の系譜の「異世界ファンタジー」ではありますが、そんな本作だからこそ得られる、他作品にはない魅力で溢れています!