第2話 贈与税

トゥルルル…

鳴り止まない問い合わせに、家中大騒動。


贈与税──有名VTsuberの仲間入りをし始めた私の頭を悩ませていた。


概要欄へ記載した通り、私はリスナーさんに馬を買うだけだ。飼育代等は全てリスナーさんが管理し運営している。そこは了承済みだった。


「贈与税って何よ、嫌になっちゃう」


「お嬢様、贈与税と言うのはですね…」


執事長のヒツジは大粒の汗を拭いながら、丁寧に教えてくれた。


高級品をプレゼントすると、受け取った側が贈与税を支払う必要がある。

1000万円の馬をプレゼントした場合、受け取ったリスナーさんが約500万円の税金を支払わなければならない。

我が家の執事達はそれをリスナーさんへ必死に説明していたのだ。


「500万円送金すれば良いじゃない」


「恐れながらお嬢様、そのお金にも贈与税がかかってしまいます」


「わかったわ!その贈与税も払えるだけのお金も一緒にプレゼントすれば良いのよ!」


──僅かな静けさの後、執事達の大きな歓声が私を包み込んだ。

『贈与税対策で同額の金銭もプレゼント』

私の画期的なアイデアが評価され、チャンネル登録者数は5万人を突破した。

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