第9話 謎の依頼篇09 「薔荊の君…」

あ〜ぁモア、大丈夫かなぁ…心配したら、睨まれそうだけど…。

初めて会った時、ぁ!青い髪だ‼︎珍しい‼︎

俺は、興味深々で声をかけた。

俺を見上げたキンカラリネの様な目に俺は…。

あの時、何かを感じたんだ!

「美しい」

仕事の話を聞いてお世辞じゃなく素直にそう思った。

治癒も出来るとか凄すぎだろ‼︎

次第に増えていく手紙の量には、驚いた。

「すごい」

雷の日、モアの生い立ちから仕事を始めたきっかけを聞いて。

俺だけは、良き理解者でいようと思った。

窓からフワリと舞い込んだ時、本当に的に球を当てた時、心が震えた。

「かっこいい」

思いつきでショコランティ好きかなと思ってショコラ〜テを出したら…どうやら、「お気に召した」みたいだ。

…アノ…「アノ顔」…悪い反応じゃなかったけど、わからねえ…。

「アノ顔」アノ時だけ、ェト・オォルの様だったアノ速さ…。

アノ時だけじゃ俺には、わかんねぇ‼︎

何かもう1度見る方法を考えねぇと…。

俺は、モアが「お気に召した」ショコランティで何か作ってみる事にした。

「アノ顔」をもう1度見るために‼︎

普通のとショコランティの生地を折り畳んで焼く事にした。

!…ァ…「アノ顔」だぁぁああ‼︎

「アノ顔」を引き出す事に成功したぞっ‼︎

うっはぁぁあ‼︎

何度、経験してもお客の引き出したい顔を見れた時、快感なんだよなぁあ‼︎

「アノ顔」は、ハッ!って顔の後、少しだけ顔が柔らかくなる‼︎

…いつもしねぇ顔だ。

たぶんあたたかなショコランティの香りが「アノ顔」を引き出してくれたんだろうな⁈

そして、「アノ顔」は俺しか知らねぇ‼︎

あの夜、苦しそうで弱々しい姿を見た気がして消えない…。

そんなモアなら守ってやりてぇって思ったんだ。

モアは、その儚くて、悩ましげな顔や姿が色っぽくて…艶めかしい。

そして、何か言いたげな顔や仕草をよくする。

言ってくれりゃいいのに…。 

モアの部屋は、何もなかった気がする。

聞けば、テッチェルとテシリィリトすらないらしい。

俺は、喜んで案内を引き受けた。

モアってどんな買い方するのか少し興味あるしな〜。

…モアってすげぇ金持ってるのな…それだけ仕事を熟してるって事か…。

そして、買い方が見てて心配になるほど、豪快だ!

わぁあ、少し目を離したらモアいなくなっちまった。

どうしよう…!

パスティエ〜ルにいるワケがねぇし、向かいのクチュリェにもいねぇし…。

ん?「Livrée」⁈

なぁんだ…モア、すげぇ目立つからわかりやすいじゃねぇか‼︎

焦った〜!見つけ易くて助かったぜぇ‼︎

買い物終わったから、どっかでゆっくりしよ〜と思ってたのによ…帰るって言われちまった…。

チクショ〜ッ‼︎

さ、さびぃい…モア寒くねぇのかな。 

どう見ても寒そうで見てるこっちが寒いぜ…。

あ!あ〜!あぁっ‼︎

ぁ!あぁ!あ〜‼︎

寄りてぇけど、モアが行ってしまう‼︎

あった、あった!クレ・ショコラ‼︎

冷てっっ‼︎

氷でも当たったのかと思ったら、モアの指先かっ‼︎

モアは、思った通り「お気に召した」みたいだ。

スイスイ食ってる!勘が当たって、すげぇ満足だ。

ドルチェラタン…興味なさそうしてたのに、すげぇ見てる‼︎

ぇ?今のモアの絵⁇

エッロぉお‼︎

今の絵のとてつもなくエロぃ絵だったぞ…ニラァジュ〜っ‼︎

占いでいいコト言われてるっぽかったし、みんなのトコ寄れたし、いい日だった〜!

メルシィ!ミカィル様‼︎

おぉう…モアの平打ち喰らった。

せっかくショコラ〜テとショコラティ〜ヌ出すって言ったのに。 

怒って帰っちまった。

モアはウチのビストルでは、こっそり人気だ。

俺も何故かほっとけなくて、世話焼ちまうんだよな…。

ホロゥズの花の様な圧倒的な美しさと荊で覆われた様な纏う空気が中々、誰にも声を掛けさせない…らしい。

確かに初めは、近寄りがたいくて目がたまにこぇ〜けど、気の利くいいヤツだと思うけどな。

うぅん、ロロプルのベシャメリィ。

これは、甘過ぎるか…?ロロプルの良さがなくなっちまうな。

どうすっかなぁ…。

う〜ん…。

あぁ〜‼︎モアだぁあ‼︎

モアがやっと帰って来た〜‼︎

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