龍と、女と、出水と

異世界から泉へ転移した若き龍は、若い娘と出会う、過去から現代へ繋がる異種族恋愛ファンタジー。お互いの名前を共有しないまま時は流れ、龍は娘との経時の乖離に思い煩う。しかし、龍の力の返戻と娘から女への変化の流れは、物語を佳境へと導く想いの強さと、うねる龍の飛び立つ姿に映えるが如く美しい。
一片の曇りもない澄んだ言葉が、行く末の未来を拓く空へと溶けていくシーンが、とても印象的。現世の泉にその名残をのせて、今も語り継がれていく時を超えた物語、秀逸です。

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