夜にオムニバス

彦徳

第1話 その手があったか

彦徳は身支度をしていた。


今日は期末テストがある為、少々緊張気味に。


ドアを開けて道へ出ると、小さい、恐らく男の子が立っていた。


小学生、ということはランドセルを背負ってるのを見る限り確定しているが、帽子を深く被っている為、それ以外は分からない。


彦徳は気にせず学校へと向かう。


テストは散々だった。

ことごとく勉強した所以外が出題され、最後の方は諦めて机に突っ伏して寝てしまう始末。


放課後、友達の智とテストについて、ああだのこうだの話している時に、ふと、今朝の男の子が気になった。


髪が短かったから男の子だよな、いや、女の子でも短い子もいるし、背丈的にもどっちもありえる。

なんで一人であんな所で立っていたのか、このご時世に危なくないか、とういか、あの帽子はどの小学校のだ、みたことないぞ。のどが乾いたな、帰りに井戸でもみつけ


目の奥が仄暗くなった。


彦徳は思った、「その手があったか」

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