第27話「丘の町」



「デュティ〜,リシャ〜ルだいぶ名が知られて来たなぁ!こんなとこから来てんぞ!!」

 どこ?

「ダジュて町だな、丘にある、とっても遠い町だ。」


ーー…田舎。

ヴィオラより、田舎。

南の田舎にある町に手紙の差出人住んでる。

いろんな色の扉の建物、色に溢れた町の坂を登ってく。

階段を更に登って、手紙の差出人の家へ。 

ーー随分、登った。

空と山と畑。

見た事ない景色…。

空は、曇ってる。

あぁ''雨が降りそうだ。


- - - - -

 どうも、お困りだと訊きました。モア・リシャールです。

「あ…ぁ お待ちしてました。」

ーーあ''ぁ、とうとう降って来てしまった。

でも、仕事用の笑顔は崩さない。

 !!

「きゃぁあ!すごい雷!!」

「大丈夫だ。落ちはしないよ。」

「でも!アンタ…ウチは、丘の上だからあたし恐くって!」

 で?どうされたのですか?

「あの…マ、マキシムの事を聞いて。

どうか、ウチのブロシェルを探して下さい!!」

ーーマキシム?

あぁ、あのうるさかった奴か。

 …いなくなったとは、どう言う事ですか?

「ぁ…雨もすごいですし、今日は我が家にお泊まり下さい。」

 いえ。お心使いは有難いですが、これから調べたい事もありますので。

ーー家に泊まるのは、いろいろ面倒くさいし…嫌。

情報も欲しい。

 詳しい話は、また明日。お探しの方のお名前は?

「マルセルです。」

ーー宿屋にても行ってみるか…。

 明日、また夕刻伺います。


ーーあ''ぁ''

雨、鬱陶しい。

雨に濡れる階段。

抜かるんだ地面。

道に出来た水溜り。

頬伝う雨雫。

全てが腹立しい。

ーー宿はここか。酒場もやってるのか…。

どこかに情報転がってないかな。

「…まぁ!」

「…濡れた肌がなんてヴェルなのッ!」

「…ほんとヴェルだ……ちょッちょいとアンタ!急なプリィに刺されたね。

コレで拭きなッ!床を濡らさないでッ!…もぅッ…!!」

 ありがとう。

ーーあぁ…雨に濡れたせいで文句言われたぁ。

「キレェなソコの人。

俺と勝負しようよ?

ソコの…アンタだよ!アンタ!

あんたが負けたらそうだなぁ…。

ヒャハハハッ。

する?しない?

それとも負けるのが恐い?」

ーー''ッ。

絡まれた。

面倒くさい。

機嫌が悪いのに…飛び込んで来た、こいつが悪い。

こいつで憂さ晴らししよう。

 何で勝負するんです?

「あの絡まれる奴、終わったな。可哀想に。」

「相手は「アノ」、「ロラン」だもんなぁ…俺、ロランが負けるとこ見た事ねぇよ。」

「きっと、アノ人ボロボロにされるわぁ…。」

「可哀想…。」

 何で勝負するんです?

「ディロだよ。

☀︎★☁︎●どれが出るか当てる勝負だ。

雲☁︎は1点、星★は2点、太陽☀︎は3点、満月●は4点。」

 どんな物ですか?

「コレだよ。」

ーーあぁ、4面体の「これ」か。

渡すって事は、いかさまする気はないらしい。

重さはこんなものか…。

投げて、ぱっと掴む。

 いいでしょう。初めましょうか。

「じゃあ、行くぞ!」

ーー向かいに座った男がカップを被せた。

ころころころん。

 満月。

「太陽だ。」

「あっ…満月だ…。」

 私の勝ちですね。そうですね…。

あなた方のお金と。

ざぁ

 装飾品と。

きんからん

 あぁ。それと腰にぶら下げてる武器、置いて消えて下さい…目触りなんで。

がちゃん

ーー余裕で勝てたな。

賭け事なのに、ひりひりもしない。

つまらなかった。

店中から歓声が上がる。

「アンタすごいよ!!

「「アノ」ロランに勝つなんて!!」

「かっこいいわぁ!どうやったの?!」

「だっはははっ。今日は、いい日だぁ!」

「アンタ、アイツらはこの町の厄介者だよ!

ボロボロにしてくれてありがとう!

これで、しばらく悪さは出来ないだろうさ!!」

「でも、あたし聞いたわぁ!

マルセル達が家出したのを聞きつけて、他の町ヘ連れて行ってやるって言ってた!」

「ほんとは売り飛ばすつもりなんでしょ?本当かしらぁ?」

「じゃあ、町外れの朽ちたシェランドが巣窟だからソコに隠してんだろうぜ。」

「でも…。」

「…ああ、俺たちじゃロラン相手に何もできないよなぁ…。」

「…助けてやれないよなぁ。」

ーーふぅん。

いい情報が手に入った。





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