第35話 寂しさ漂う帰り道
~同日 夕方~
ショッピングセンターを出て、2人で今日のことを話しながら帰り道を歩いている。
「今日は楽しかったね」
「たくさん買い物して、たくさん遊んで、こんなに楽しんだのは何年振りか分かりません」
「時雨も楽しめたならよかった」
「またどこかに遊びに行こうね」
「もちろんです」
「なんか、寂しい気持ちになるね」
「2人でいるのに、何なんでしょうねこの気持ち」
「2人だけだからなのかな」
「どういうことですか?」
「今、太陽も沈んできて暗くなってきてるよね」
「ですね」
「さっきまでは明るいショッピングセンターにいて、他の人もたくさんいたよね」
「はい」
「そういう雰囲気のギャップで寂しさを感じてるんじゃないかな」
「おお、なるほど」
「家に帰れば寂しさは解消されるだろうね」
「家は明るくて活気もありますしね」
さっき私がクレーンゲームで取った熊のぬいぐるみを両手で抱き抱えている時雨。可愛い~。
これはなでなでするしかないね。
半歩時雨の方へ近づいて頭に手を伸ばす。
時雨は私から反対側の腕に荷物を掛けている。つまりいつでも密着できる状態にあるということだ。
時雨の気遣いでそうしてくれているのかもしれないと思うと本当にいい子だ。
「今撫でる必要ありますか?」
「寂しさを拭えたらいいなって思って」
「お気遣いありがとうございます。私はあなたのメイドでいられて幸せです」
ちょっと道路の方に顔を向け、優しく微笑んでいる。
そんな横顔も凄く愛おしい。
昔の時雨とかも見てみたいなぁ。時雨はアルバムとかまだ持ってるかな。
持ってたらまた今度にでも見せてもらいたいけど、流石に嫌がりそうかも?
我が家の明かりが見えてきた。家の明かりは庭の向こうなのでもう家のすぐ近くまで来ているということだ。
「今月末は定期テストだね」
「あまり考えたくはありませんね」
「時雨は勉強得意だったりするの?」
「秀でているというほどでもありませんが、平均よりは上の自信があります」
「それはよかった。将来は優秀な秘書になってるかもね」
「ずっと一緒にいられたら良いですね」
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