第2話 いよいよ新しい世界へ、もふもふの世界へ出発

『じゃあ、これで決定でいい?』


「ああ。それで頼む。そうか、俺の夢が叶うかもしれないのか。ふふふふっ」


『あんな反応がくるなんて。僕が放つ圧よりも強かったんじゃないかな?』


「ん? 何か言ったか?」


『い、いや別に、何でもないよ。またあんなに詰め寄られたら困る……』


 ブツブツと、俺に聞こえないように何かを言う神。一体何なんだ? その後、深呼吸をした神は、イスから立ち上がり手を上げた。


『じゃあ早速、準備に入るから、君はそのままじっとしていて』


 神に言われた通り、そのままじっと動かずに、準備が終わるのを待つ。これから色々俺の授けてくれるらしい。


 結局色々考え、色々質問した結果、俺は自然な生まれ変わりは選ばずに、別の世界へと記憶を持ったまま転生することを選んだ。

 そのまま自然に任せても良かったけれど、記憶を持ったまま、俺の知らない世界で、改めて生活するのも楽しいかと思ったんだ。


 どうも新しい世界には、魔法が存在しているようで。地球にはない魔法。それを使えたらどんなに楽しいかってね。


 そして新しい世界には魔法だけじゃなく、俺の知らない生き物がたくさんいる世界らしい。ライトノベル小説のような世界だと。本当にそんな世界があるとは。


 その話しを最初聞いた時、俺はすぐにアレのことを聞いてみた。俺の大好きな、もふもふな生き物はいるかと。地球で生きていた時の俺の夢は、いつかもふもふの動物達に囲まれたて生活したい、というものだった。


 毎日仕事で、残業は当たり前。自分の自由な時間などほとんどなかった生活。そんな俺はもふもふの生き物が大好きで、いつかそういう子達に囲まれて、ゆっくりまったりしたいと思っていたんだ。


 だからすぐ神に、もふもふの生き物がいるか尋ねたんだが。その時、神がとっても驚き、そして嫌そうな顔をしていたのは何故だろう? 俺はただ聞いただけなんだけどな。


 ちなみに、神の土下座は途中でやめさせた。謝って元の世界に戻してもらえるならそれで良いが、それも出来ず。それで新しい世界でもふもふを堪能できるなら、俺はそれで良い。いつまでも土下座をされて話しをされたんじゃな。


 準備するからと、動くなと言った神。少しすると神を淡い光が包み、その少し後に俺の体も光り始めた。最初に言っていた特典。それを今、俺にくれているらしい。新しい世界に順応できるように。


 どんな言語も分かるようになったり、様々なな魔法を使えるようになったりと、まぁ、色々だ。その中にはあたらしい世界の生き物と、契約できる魔法もあるようだ。

 小説と同じで、心を通わせることができれば契約し、家族として、仲間として一緒に生活できると。


 ふふふっ、いやぁ、楽しみだ。どんな生き物がいるのか分からないが、俺を認めてくれ、家族になってくれる生き物がいてくれれば、どんなに嬉しいか。


『ちょっと、今色々準備してるんだから、その変な顔やめてくれないかな? 気が散るんだけど』


「あ?」


『……何か悪人みたいな笑い方だけど』


 またボソッと何かを言う神。言いたいことがあるならはっきり言ってもらえないかな?


 あとはできたら、家族が欲しいな。ずっと側にいて、楽しい時も苦しい時も、色々なことを分かり合える家族。地球ではみんな、早く別れることになってしまったから。

 ……俺の地球での家族がみんな、天国と呼ばれる場所で幸せに暮らしながら、次の生まれ変わりを待っていると良いけど。


『ああ、それは大丈夫だよ』


「あ?」


『いや、だからね。君の家族はみんな天国でゆっくりと、次の生まれ変わりを待っているから、大丈夫だよ』


「……心は読まないんじゃなかったのか?」


『あっ!? いつもの癖で、ごめんごめん』


 そう神は、俺が考えていることを、俺が口にださなくても、心を読むことができる。その逆で知らないようにすることも出来るらしく。俺の考えをあまり知られたくはなかったから、やらないでくれと頼んでおいたんだ。だけどこれだ。


「はぁ、本当に頼むぞ。俺の新しい世界での暮らしが、お前ドジのせいですぐに終わり、なんてことだけはよしてくれよ」


『そこは大丈夫だよ、幸運を授けるからね。うん、大丈夫!』


「……」


 本当に大丈夫?か? 何か心配になってきたな。


 それからどれくらい経ったか。俺達を纏っていた光はかなり強いものになっていたが、それがだんだんと薄まってきて、そろそろ準備が終わるらしい。

 魔法にもふもふ。神のせいで少し不安なところもあるが、これからの新しい生活が楽しみで、俺の心はドキドキし始めていた。


 光が完全に消えると、今チェックするから、もう少しだけ待ってくれと。そのもう少しは、神の言った通りすぐに終わり、俺の準備は完璧の終わったみたいだ。


「これで準備は終わりなのか? 変わったところはないように感じるが」


『目に見えないだけで、色々君には付けたから大丈夫だよ。向こうの世界に行って、2、3歳になれば、自分でもステータスを見られるようになるから、それで確認してみて。ただ、さっき言ったこと、忘れないでね』


 新しい世界では、自分の能力が見られるらしい。そう、小説のような、ステータスとして見ることが出来る。ただ、それは赤ん坊では難しいらしく、少ししっかりと成長した、2、3歳くらいから見られるらしい。


 そして俺のステータスは、神が色々与えてくれているから、他の人よりもちょっと? 能力が高いらしく。子供の頃からそれだと、色々面倒ごとに巻き込まれる可能性があるとのことで。

 最初は最低限の能力を見られるように。成長するにしたがって、色々見られる項目が多くなるよう、調節してくれたようだ。


 そう、俺の新しい生活は、赤ん坊スタートらしい。どうせなら少し成長している状態でも良いと思ったんだが。赤ん坊スタートの方が、少しずつ周りを理解できて良いだろうと。

 まぁ、突然新しい世界に放り出されても、確かに周りのことは何も分からないからな。その辺はなんとかやって行こう。


『よし、じゃあ、そろそろ出発するけど良い?』


「ああ」


『じゃあ、ここに立って』


 俺は神に言われた場所に立つ。そして神が手を上げれば、俺の足元が光だし。


『向こうに行った時は、最初のうちは僕と頭の中で話ができるからね。ただ少しの間だから。話しができなくなった後は、新しい世界にある教会に行ってみて。時々なら僕と話しができるから』


「ああ、分かった」


『今回のこと、本当にごめんね』


「もう良い。それよりもしっかりと送ってくれよ」


『もちろん!! じゃあ、いくよ!!』


 足元が目を開けていられないくらい光り始め、俺は目を瞑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る