義兄弟は手がかかる

カエル

第1話 プロローグ

優花ゆうか、ちょっといいか?」

「うん?お父さんどうかしたの?」

私が晩御飯の準備をしていると珍しく早く帰ってきたお父さんが話しかけてきた。

「とりあえず、座ってくれ。」

「うん。」

私はお父さんに言われるがままにお父さんの向かいの席に座った。

「父さん、再婚することにした。いいか?優花が嫌なら、……」

「いいよ。」

「え、でも……」

「いいの。話はそれで終わり?なら、ご飯にしようよ。」

私は立ち上がるとキッチンへと移動した。後ろでお父さんが何か言いたそうな顔をしていたが気にしないことにした。私としては7年間男手1つで私を育ててくれたことに感謝している。なので、父親が決めたことなら別に邪魔するつもりも、拒絶するつもりもない。


「優花、いいのか?」

晩御飯の準備を終えて再び席に着くとお父さんが真剣な顔で聞いてきた。

「うん。お父さんには感謝しているんだもん。だから、いいよ。」

「でもなぁ…。」

お父さんはどこか納得していないようだった。

「ああ、もう!分かった。それじゃあ、再婚する前に私も会いたい。別に反対するつもりは全くないけど、それじゃあ、お父さんは納得しないんでしょ!だったら、私も直接会って判断する。それでいい?」

なんとなくお父さんは私に反対されると思っているようだ。そして、おそらくこのままだといつまで経ってもお父さんを納得させることはできないだろう。お父さんは私がこう思っているだろうとか、こう考えているだろうと一度思ってしまうと私がいくら訂正しても修正することはできない人だというのは良く理解しているので、納得してもらうために会うことにした。本当はもっと穏やかな口調で言いたかったんだけれど、つい怒鳴ってしまった。ちょっと反省。

「分かった。連絡を取り合って近いうちに会えるように手配する。あ、あと、再婚するとなったら相手方の家に引っ越すことになるから、準備だけはしておいてね。」

お父さんは笑顔で言った。

「分かった。」

私はそういうと結局その後はいつも通り一言も発することなく布団に入った。

私としてはもっとお父さんと話したいことがあった気がするんだけれど、ここ数年必要最低限の会話以外お父さんと話していない。お父さんが再婚すればもう少しお父さんとも昔みたいに話せるようになるかな?

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