第15話 20✕✕【JAPAN・MOTOR・SHOW】開催♪

それから更に日は流れ…

七月✕日金曜日 

快晴 気温26℃


【♡NEKOMARU PRESENTS♡】

【20✕✕JAPAN・MOTOR・SHOW♪♪】

そんな名称のアドバルーンと打ち上げ花火が、初夏の匂いがし始めた満天の青空を賑やかに彩ったイベント初日の今日♪

会場は前回開催された《NEO TOKIOドーム》会場から、ここ都心部より少し離れた埋め立て都市に昨年完成した《DREAM CITY STADIUM》会場へと変更されていた。


…その理由は二つ…


一つは、この埋め立て都市…

国が数十年前に構想を立ち上げた自然と共存した近未来都市計画【Shangri-La・Project】の一環として今年始めに完成させた次世代都市なのだが、猫丸産業現会長(当時社長)である猫丸パルプ氏がこのプロジェクトを推進させていたメンバーの一人だった関係で、格安でその会場をキープ出来たからだった。


二つめは《Shangri-La・Project》成功のアピール…

交通の利便性もさることなから、警察等の官公庁、その他公共機関を最先端サイバーシステムと連携して情報を共有・管理する事による安全性と宿泊施設を含む居住環境の充実した整備、様々な商業施設、イベント施設の充実等様々な利点をメディアやSNSを通じて、大々的にアピールする事によって、この都市の活性化を促すのを密かに国からの要請でこのプロジェクトに関わる関連企業に課せられていたからである。

つまり…

色々な《綺麗事では済まされない裏の思惑と流れ》がこのプロジェクトにはいまだ交差しているのだ。


以上、では話を戻そう。

ただのモーターショーとは思えない程の人の流れとメディア関係の多さに、太郎もそうだが特に華恋は驚きを隠せなかった。

「タッくん凄!いつの間にかこんなに行列できてんじゃん!」

「CMやSNS、ポスター告知や口コミで散々宣伝したからね…」

ある程度事の真意を聞かされていた太郎は、そんなセリフでこの状況に至った理由を誤魔化した。

しかしそれでも流石にこの盛況ぶりには冷や汗をかかずにはいられなかったらしい。

すると何時もと違ったリアクションをする太郎に妙な違和感を感じる華恋…

「あれ?今日のタッくんてば、全然キョドってない」

「当然です、仕事モードですから」

そんな彼女のツッコミを冷静に躱す太郎。

「ふ〜ん、なんかカッケーじゃん♡ギャップ萌えって感じで疼くし〜♪」

「な!朝っぱらから何を言ってるんですか!!(照)」

でもやっぱり華恋には叶わない太郎(笑)

「ほら、開場前の全体ミーティングに行きますよ!」

「あ〜〜い、もうイクし〜♡」

オイオイ(汗)

照れながらも微妙にイントネーションが違うセリフを無視した太郎は、華恋にそう促しながら小走りに歩きだすのだった。



…そしてイベント開催からのこの三日間… 


それはそれは想定以上の大盛況だった♪

これ程までの盛況振りは流石に各車メーカーサイドやイベント主催者、コスプレのサークル関係者も予想できなかったらしい。

これはスポンサーサイドにも言えたのだが、とりわけ鬼無里本部長や猫丸社長でさえも驚きを隠せないでいた。


特に各メーカーさんは…

なんか妙〜に気合の入った痛車を必要以上の台数用意していた。

だがそれも…

片っ端から商談にこぎつけ、成約に至ったらしい(笑)

その他の新車や既存車も予想以上に成約に至ったらしく、嬉しい悲鳴を上げていた。


コスプレサークルのブースに関しては、三日間日替わりで違うサークルが参加していたが、何処も大量に出品していたにも関わらず、早々に完売御礼の札が並べられ、残りの時間は各車メーカーに協力してキャンペーンガールの様な役割を担っていた。


それと嬉しいイレギュラーが一つ…

スポンサーのご厚意により保有している1980年代のスーパーカーを駐車場に設けた特設ブースに展示する事ができたお陰で、それも宣伝効果を産んでいた。

しかも急遽走行イベントも開催されたのも来場者には溜まらないものがあったようだ。


他にも別イベント会社主催の企画で…

近くの駐車場を借りての【全国御当地B級グルメフェス】が開催されたり…

㈱井形重工を中心とした8Mクラスの実物大某アニメロボットのお披露目&アクションイベントも開催された。

ただ、このお披露目会に関しては…

ここだけの話これも裏で政府絡みの色々な思惑が交差し進行しているらしい…

※まぁ〜この辺のハードでシリアスなサイドストーリーはこの物語には全く関わってこないのであしからず(笑)


こんな感じでモーターショーは無事盛大に大成功を収めた♪

まぁ〜収めたんだけど…


ちなみに華恋達はというと…

「納得いかないわ!何で私だけこんな地味なコスプレで最後まで終わらなきゃいけなのよ!!(怒)」

「まぁ〜まぁ〜冴子さん落ち着いて…」

周りを見て自分のコスプレが予想以上に地味に見えたらしい冴子は、思いっきりそんな不満を口にした。

それをなだめる太郎は、どんな言葉を彼女に掛けて良いか解らず困り果てていると…

「そうよ冴子、もういい歳してんだからいいかげん落ち着きなさいよ♡」

かおり!アンタ私と同じ歳のクセにそれを言うか!!」

そんなセリフを遠慮無く冴子に突きつける鬼無里の妻薫。

それは実際思っていても言ってはならない禁句タブーだと、ここにいる関係者達は誰もがそう心の中で叫んでいた(汗)

実際、コスプレイヤーの殆どが10代から20代の美少女が多かった今回のイベント。

写真撮影のイベントなんかも大半の男共(特にアラフィフ以降)は思いっきり鼻の下が伸びている(笑)

※誰とは言わないが各メーカーのお偉方達…


余談だがメーカー側に募ってもらって集まった有志達も、なかなかのクオリティーで、初めてのコスプレも結構さまになっていた。

特に男性陣は老若誰もが、総てにおいてクオリティーが高かった。


所で、まぁ〜それはそれでこの際おいといて…

「…鬼無里本部長…もしかして御夫婦で冴子さんとお知り合い…」

「あれ?言ってなかったっけ(笑)私達三人幼馴染だけど」

初めて知ったこの事実に、太郎は何だか彼にハメられた様な気がしてならなかった。

何というか…

釈迦と悟空みたいな…

最初から最後まで彼の手のひらで踊らされた様な、そんな感覚が襲ってくる太郎。


しかし…

「太郎君太郎君、私華恋ちゃんのオムツ交換した事あるわよ♡」

そんな感覚をぶち壊す様に、お構い無しでとんでもないサプライズを太郎にチクる薫(笑)

「わーーー!それは言うなし!!」

慌てて両手で彼女の口を塞ぐ華恋。

「ちなみに私達四人は幼稚園からの幼馴染♡」

「華恋がオネショして怒られた姿も見てるな〜♪」

「コラ茅野カーノ!それも言うなし!!」

「他にもさ…♡」

麻音マッチンも何もバラすなし!凛夜オリンってば笑ってないで止めてくれてもいいじゃん(涙)」

「あら、私は後片付けで忙しいの(笑)」

だがそれも凛夜達の追加攻撃にあい、徒労に終わった。

そんなフォローが無いまま華恋は一人、狼狽えながら今度は太郎の耳を塞ぐのだった。


こんな感じで太郎発案の今回のイベントは盛大に幕を降ろしたのである♡




…続く…







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