二十二杯目 友達

「もう…レドさんったら、自覚なさすぎ!誰にでも優しい訳じゃないといいんだけど…もしそうだったら、ちょっと嫉妬しちゃうな…」


(…一緒に住むか?)


この言葉にときめいてしまったのが、少し悔しい様子。

しかし、レドに紳士すぎる所があるのは事実。サヤはそれが心配なのだ。


誰にでも紳士的なのであれば、モテるのは間違いない。

彼女歴がないと言っても、レドはかなりイケメンだ。

同じ事務所の女性にも好かれているのでは…?そう思ってしまう。


「レドさんを疑うようで申し訳ないけど…モテそうなんだもん!早く会いたい…来てくれないかな…」


「ま~た、サヤが何か言ってるねぇ。今度はどんなアイドルなの?教えなさいよ~!」


同じく従業員で、厨房係のアレッサだ。

アレッサもアイドル仲間で、よく話している。


「アイドルじゃないよ、アレッサ…私心配なことがあってさ…」


「なに~?何でも言いなさい!」


「…彼氏できたの。」


「は?マジで言ってる!?」


サヤの肩を掴み、問いただすアレッサ。

それに少し驚きながらも、頷く。


「やーん、サヤに彼氏ぃ…私泣いちゃうよ…よかったよかった。ちょっと待って、変な男じゃないでしょうね?」


「少し不思議な人だけど、変じゃないよ!誠実で、紳士的な人だから…」


「あんた、惚れた男に騙されやすそうね…気を付けるに越したことはないよ。何か、嘘吐いてる可能性だってあるんだから。仕事してないとかさ。」


「そんなことないよ!カフェに仕事しに来てるんだから…」


カランカランッ…


ドアが開く音がしたため、サヤは急いで接客に戻る。


「アレッサ、また後でね!」


「はいよ~。頑張ってきな!さて、私も頑張らないとね。」


二人は仕事に戻った。サヤが店内に行くと…


「サヤ、待たせた。悪いんだけど、またコーヒー頼むよ。」


入店したのはレドだった。サヤは少しムッとした顔で言う。


「駄目です!カフェイン摂りすぎになっちゃいますからね。窓際の席でいいですか?」


「そこが空いてるなら…」


「では、窓際のお席にどうぞ~!」


会話する二人を、アレッサが厨房から覗いていた。


「摂りすぎになるのを知っている…うーん…あの人、彼氏筆頭ね。目をつけとかないと!」


いつの間にか、アレッサに目をつけられてしまったレド。

その時、レドはというと…


「悩むな…ココア…うん、ココアにしよう。」


「ココアでいいですね!淹れてきます…」


厨房に戻り、ココアを作るサヤにアレッサが話しかける。


「…あの人彼氏でしょ?」


「な…何でわかるの!?」


「私は百戦錬磨だからね。何だってわかるよ。それより、ココアの牛乳温まってる。」


恋愛に関しては、アレッサの方が上手のようだ。


「え…?本当じゃん!早く教えてよ!牛乳注いで…よし、持ってくね。」


サヤはレドの元へ、ココアを持って行った…

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