十九杯目 つんつん

「レドさん…起きてくださいよ~…つんつん…」


「……………」


レドはまだ気を失っている。

つんつんして起こそうとするも、起きてくれない。


「イタズラしちゃいますよ~?」


「うぅ…」


「………うん?起きないな。イタズラ、しちゃおうかな…」


そーっと近づいて、レドの頬に手を当てる。


(このイケメンに何をしてくれようか…クックック…!)


少し考えた後、また不意打ちにキスしてやろうと思い、顔を近づけると…


「…あれ、寝てたのか…?起きないと!」


ゴツンッ


サヤが顔を近づけたのと同時に、レドが起き上がったため…

二人の頭がおもいっきりぶつかった。


「痛っっった!?」


「何でこうなるのぉ…いだい…」


とてつもない痛みが二人を襲い、バタバタもがくこと…3分。

ようやく痛みが引いてきた。


「レドさん、ごめんなさい!痛い思いさせる訳じゃなかったんです~…」


「それはわかるんだが、もう少し手段を選んでくれ…!」


「…レドさんだって、好きな人の家に行ったら期待するでしょう?その後の展開とか…」


「…そりゃ、するぞ…?今でもしてるぐらいだからな…」


お互い、心臓の音が相手に聞こえているんじゃないか?というほどバクバクしている。


「「あの…」」


「すまん、被った…先いいぞ。」


「いえ!レドさん、先にどうぞ…」


少し気まずい空気の中、レドが切り込んだ。


「その…するか…?初めてだから何もわからないが…」


「…あの…レドさん、ずっと嘘吐いててごめんなさい!私…誰かと付き合ったりしたことないんです。男たらしなので、信じられないと思うんですが…本当なんです…」


「…キスもしたことなかったのか…?」


恥ずかしそうに、サヤは頷く。


「俺が奥手すぎだったな…君が経験済みだと思って、全て任せてたんだ…キスだって、俺からしなかった訳だし…」


「過ぎたことはいいんです!私がしたいと思ってしたことですし…ただ、これからのことを少し期待してますよ~。ってことを言いたくて…」


「もちろんだよ…一つ聞いておきたいんだけど…怖くないか…?」


「レドさんとなら…何だって大丈夫ですよ…」


安心している様な顔のサヤに、レドは感情を抑えきれずキスをした。


「サヤ…愛してるよ…」


「ふふ…私もです…!」

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