Two took Ones:少女人形にされた僕の数奇な死に様

よるめく

プロローグ

 鳶色の髪の少女は、遠くで死んだ少女を見つめ、真っ白になった頭で呻いた。


「あ、ああ、あ……」


 人が死んだのが見えた。ほっとした顔で、穏やかに眠るように、血みどろで。守りたかったはずの人が、死んだ。


 少女は茫然と、鳶色の髪の少女は大きなぬいぐるみの腕の中で打ちひしがれていた。頭はなく、土気色の顔の死体が埋め込まれている。そこへ、ヴァイオリンの弓を手にした、ドレスのような鎧をまとった女性がゆっくりと生き残った少女に近づいてくる。


 女性は心ここにあらずといった様子の少女からぬいぐるみを引き剥がす。死体の顔を一瞥し、沈痛な表情をする。女性はあきらめたように首を振ると、鳶色の髪の少女と視線を合わせ、問いかけた。


「こんな状況で言うのもなんですが、大切なことなので先に聞かせてくださいね。あなたのお名前は?」

「名前……」


(僕の、名前は……)


 少女は、涙を流しながら口を開いた。

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