第18話 僕と掲示板

「「おやすみなさーい。」」


「「おやすみー。」」


歯磨きと夕食の片付けを手伝った後に、僕とアク姉はそれぞれの部屋に戻る。


ゲームをやりすぎていつもより遅い時間になっちゃったけど、もう少しだけ余韻に浸りたい。だから僕は端末を使ってリバティライフオンラインの情報総合掲示板をちょっとだけ見ることにしたんだ。


せっかくだし発売当初の反応でも見ようかな?


【リバティライフオンライン情報総合掲示板】


名無しの管理人

ここはリバティライフオンラインに関する情報をやり取りするための掲示板です。


公式公認の場所なので、誹謗中傷を含めた発言は控えるようにお願いします。


最悪ゲームアカウントごとBANされるから気を付けろよ!!


名無しの旅人

やっと発売されたな!20年ぶりのフルダイブ型のVRMMO!


名無しの旅人

待ってた!超待ってた!あの感動をもう一度味わえるなんて夢みたいだ!


名無しの旅人

俺泣きそうになっちまったよ。やっと故郷に帰れるんだって気持ちになっちまった。


名無しの電子人

私達からしたらまさにその通り何だけどねぇ。


名無しの電子人

一応専用サーバーがあったりとか、色々とフォローしてくれてたけどやっぱり世界が構築されてないとね。


名無しの電子人

用意された場所は、進歩しない時間の止まった世界だったからなぁ。


名無しの旅人

しゃーないべ。VRゲームが衰退しちまって、更新自体がしばらく禁止みたいな扱いだったんだもん。


名無しの旅人

まぁお陰で俺はエレクトロンの嫁を娶れたけどな!もうすぐ1児のパパです。子どもと一緒にゲーム世界を旅するんだぁ。


名無しの電子人

そういう人多いみたいですよねぇ。私達もまさか旅人と一緒になって子供まで出来るとは思ってなかったですし。


名無しの旅人

最初は法整備も進んでなくて扱いが酷かったもんなぁ。今は大丈夫か?


名無しの電子人

おう!セカンドライフ社の社長が気張ってくれてな。法整備も進んで快適なもんよ!


名無しの電子人

こちらの世界を知ると、向こうに帰りたいなんて思いませんしね。ご飯は美味しいし、娯楽も多いですし。何より文明が段違いですから。


名無しの旅人

なら良かったよ。


名無しの旅人

結局あの騒動の所為で、というかお陰?で日本の人口がある程度盛り返したもんな。


名無しの旅人

事実上の難民の受け入れだ!他国のも受け入れろ!なんてうるさく言ってた政治家が居たけどな。


名無しの電子人

はいはい。ここはゲームに関して話し合いをする場でしょ?世間話は別のところでしましょ。それより実際どうなの?綺麗な世界?


名無しの旅人

前作から時間がかなり開いてる分、かなりパワーアップしてると思うぞ。住人は生きてるようにしか見えないし、魔物や植物にも生態系がしっかりと構築されてるし。


名無しの電子人

バイトで俺達の仲間が中に入ってんじゃねぇかってくらいには区別つかないよな。まぁある程度フィードバックはされてると思うけどよ。


名無しの電子人

あら。じゃあ中の人達もこっちに来ることが在るのかしら?


名無しの旅人

どうだろうな?セカンドライフ社からはハッキリと明言されてないからなぁ。


名無しの電子人

無理だと思うぞ。こっちの世界のことを教えようとしたらブロックされたからな。


名無しの旅人

そうなのか。それじゃ俺達が連れ出すのも無理っぽいか?


名無しの電子人

エレクトロンの体は用意できるんだし、なんとかできそうに思うけどな。


名無しの旅人

そこはゲームはゲームとして割り切るようになってるんだろ。


名無しの電子人

ゲームシステムの方はどうなのよ。ステータスとか在るの?


名無しの旅人

ステータスなんてシステムは無い!!


名無しの電子人

HPとMPにSTの表示だけだなぁ。後はマップとクエストマーカーくらいか?


名無しの旅人

スキル一覧と装備画面にインベントリも在るぞ。ちなみに俺はチュートリアルで【剣術】のスキルが取れた。


名無しの電子人

まじか!良いなぁ。俺も剣術取ろうとスライム何回か殴ったけど、全然取れなかったんだよな。


名無しの旅人

あのスライムって経験値無かったはずだろ?【剣術】が取れたってのはガセだろ。


名無しの電子人

あら?私もチュートリアルで【従魔術テイム】を覚えたわよ?スライムを連れて歩いてるわ。


名無しの旅人

俺も【杖術】が取れたぞ?


名無しの旅人

は?どうなってんだこれ?


名無しの電子人

お?いまいろんな武器を試してたら【銃術】がチュートリアルで取れたな。これはもしかしてリアルの能力に関係してるのか?


名無しの旅人

なんでそう思った?


名無しの電子人

俺リアル自衛官。絶賛射撃訓練中


名無しの旅人

なるほど。そう言われたら俺学校で剣道部だわ。


名無しの電子人

つまり。リアルで培った力をゲームに持ち込めるってことなの?でも私ペット飼ってないんだけど?


名無しの旅人

最近じゃなくても良いんじゃないか?昔飼ってたとか。


名無しの電子人

確かに昔チワワを飼ってたけど。そんなので良いのかしら?


名無しの旅人

うーむ。なぁちょっと聞きたいんだが。質問いいか?


名無しの電子人

何だ何だ?


名無しの旅人

おう。わかることなら答えてやるよ。


名無しの旅人

戦闘系のスキルが在るのは分かった。生産系のスキルはどこで生えるんだ?


名無しの電子人

そう言えば見かけないわね?


名無しの電子人

そう聞くってことは生産系志望なのか?


名無しの旅人

鍛冶師志望で今街の鍛冶屋で修行させてもらってるんだがよ。戦闘系スキルと違って全く生えないんだよな。だれか取ったやつ居る?


名無しの旅人

それなら俺は【料理】スキル持ってるぞ。その道のプロの人に認められたらスキルが生えるらしい。


名無しの電子人

はいはい!私は【畜産】持ってるよ!牧場のおじさんがお前は立派な牧場主だって言ってくれた瞬間に生えたよ!


名無しの旅人

はえー。生産系ってそういう仕様になってるのか。


名無しの電子人

これで【料理】と【畜産】は確定と。【鍛冶】も鍛冶屋の親父に認められたら生えるんじゃね?


名無しの旅人

みたいだなやっと俺にもやっとスキルが生えたよ。


名無しの旅人

おめでとう!


名無しの電子人

おめでとう!


名無しの電子人

頑張ったのね、おめでとう。


名無しの旅人

これで立派な鍛冶屋だな!


名無しの旅人

生えたのは【鍛冶】じゃなくて【家事】の方だけどな!たしかに親方は生活力ゼロだから弟子として家事全般やってたけど欲しかったのはそっちじゃねぇ!何が「お前は立派なハウスキーパーだな。」だよ!まず弟子として認めろよ!


名無しの旅人

お、おう。


名無しの電子人

【家事】って事はメイドや執事も出来るのか。でも何で鍛冶屋の親父に認められたのに【家事】?


名無しの旅人

駄目だ、腹いてぇ!【家事】の旅人は立派なバトラー目指してくれ。ぷくくくく。


名無しの旅人

もういっそそっちの道に行くのもありかと思ってる。いま親方にお前に鍛冶の才能はねぇって言われたし・・・・。


名無しの電子人

いま街の人に聞いたんだけどさ。生産系のスキルは色々在るみたいだけど栽培系のスキルって確認されてないらしい。ちなみに【家事】は生産系の上位スキルだとさ。


名無しの旅人

ん?それってどういうこと?


名無しの電子人

栽培系ってそもそも何?


名無しの電子人

【家事】は【料理】や【裁縫】何かを複合した上位スキル何だとよ。【家事】ニキは頑張って極めてくれ。


そんで栽培系ってのは植物を育てたり増やしたりする系統のスキル。それが確認されてないんだと。スキルが無いから、各地の農業ギルドは寂れてるらしいぞ?


名無しの旅人

農業とか植林とかはスキルが無くても出来るからってことなのかね。それにしてはスキルが無いってのも気になるが?


名無しの旅人

まじでスキル無いってさ。直接農業ギルドで聞いてみたけど、ぽかんとされたよ。


名無しの電子人

直接土を弄ったり、種を植えたりしなきゃ駄目みたいなのよねぇ。ゲームの中でそんな地味な作業したくないわ。


名無しの電子人

そんなに地味で大変な作業なのぉ?野菜作らないと大変な事にならない?


名無しの旅人

大事だとは思うんだけどな。システムの補助が無いってことだからどうしても手間と時間掛かるぜ。農業するくらいなら直接魔物ぶっ叩いたほうがマシだ。


名無しの電子人

実際の植物と違って育成速度はかなり早いみたいなのよね。だけど手間を掛けないと良いものが出来ないわ。アプリゲーみたいに簡単にはいかないみたいなの。



名無しの旅人

じゃあ農業ギルドに入るのは地雷って訳か。


「そんなに難しくないよぉ・・・・。むにゃむにゃむにゃ・・・。」


僕は掲示板を見ながらいつの間にか夢の世界に旅立ってしまった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


唐突にランキングが上がり始めてビックリしております。応援ありがとうございます。(_ _)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る